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シネマ365日

2015年11月14日

特集「もてるにもホドがある70代」カトリーヌ・ドヌーヴ
うず潮(1975年 コメディ映画)

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監督 ジャン=ポール・ラブノー

出演 カトリーヌ・ドヌーヴ/イヴ・モンタン

シネマ365日 No.1568

流れ流れて来た女 

特集「もてるにもホドがある70代」カトリーヌ・ドヌーヴ

結婚式を4日後にひかえ、花嫁お披露目のパーティーがベネズエラの首都、カラカスの豪華なホテルで開かれている。花嫁はネリー(カトリーヌ・ドヌーヴ)。夫は大金持ちのイタリア移民の息子ビットリオだ。ドヌーヴがブロンドの髪をアップに、祝福に微笑を返しているところはヴィーナスのように美しい。でもこのヴィーナスはその夜、夜陰に乗じて逃走するのだ。彼女はパリから流れ流れ、ナイトクラブを渡り歩いて南米までやってきた根なし草だ。地元のキャバレーで働き、経営者アレックスの愛人になったが、給料未払いで嫌気がさし、大金持ちの移民の息子ビットリオと結婚することにしたところ、これがひどい暴力男だった。妖艶、頽廃、エロチック、エレガンス、などという評価が当然のように言われてきたドヌーヴが、コメディに強いところを見せた一作。イヴ・モンタンが受けに回り、孤島で暮らす脱セレブ、世界的パヒューマー(調香師)、マルタンを演じます▼ネリーはいきがけの駄賃に、アレックスが命から二番目に大事にするロートレックの本物を頂いてズラかる。ネリーを連れ戻そうとするビットリオと、ロートレックを取り戻そうとするアレックスが手を組んでネリーを追跡する。ネリーは偶然ホテルで出会ったマルタンに救いを求め、追手を振り切り空路パリに発つ。やれやれ、騒々しい女だった、とマルタンは孤島の一軒家である自宅にボロ船で戻ってきた。そこには、なぜかネリーがソファでグウグウ眠っていたのだ。きけば税関で絵を見咎められ、飛行機に乗りそこねた、マルタンを頼ってホテルにいけば島の家に戻ったというから、漁船に頼んで運んでもらった、頼むからここにおいてくれ…ちょっと頭のおかしい女にかまってはおれない、マルタンはネリーを家からおいだしてしまう。ボート小屋で夜を明かしたネリーは、マルタンの家に行き、マルタンが鳥小屋や畑にでかけたすきに、テーブルの上のパン、ジャム、果物をうまそうに平らげてしまう▼マルタンはネリー追い出しにかかる。船に乗れ、陸についたら空港へ行けと言う。操舵しながらマルタンは変な音を聞きとがめる。甲板の下ではネリーが船底に大きな穴をあけているのだ。勢いよく海水が流入。マルタンの応急手当を尻目に、船は沈み始めた。どこへいった、あのクソ女。見れば、大きなバッグの上にロートレックをのせたネリーが、岸をめざして力泳である。ドヌーヴの横泳ぎ、けっこううまいです(笑)。しかしこっちは「地中海の快男子」イヴ・モンタン。クロールで抜き手をきっておいかけ、ネリーをつかまえる。ひとり暮らしの長い彼は料理も得意だ。お気に入りのオーブンに魚を入れ、煮野菜でふちを囲み、ていねいにスープに浸し、暖める。できあがったころだと思ってやってくると、ネリーが皿ごと失敬しているのだ。彼はアメリカ最大の香水会社の社長令嬢と結婚した。マルタンの作る香水は世界一だ。マルタンは社長の地位についたものの、ビジネス社会に嫌気がさし、妻からも逃げ出し、孤島でひとり、丸太小屋を建て、トリを飼って野菜を作り、魚を釣って、ロビンソン・クルーソーしている。タネをあかせばすべは妻の演出だった。島も、マルタンが作って売りさばく野菜、トマトも、すべては妻が買い取るよう指示していた。そして連れ戻す時期を待っていたのである。マルタンにとって、奔放な傍若無人のネリーはエイリアン。ふりまわされながらもいつしかマルタンは、ネリーの純真さにほだされる。そこへとうとう、ネリーをあきらめないイタリア男と〈ロートレックいのち〉のアレックスが島へ乗り込んできた▼3年後、連れ去られたネリーはイタリア男と結婚したものの離婚、ロートレックはアレックスが自分の靴でキャンバスを踏み破るというアクシデントでおじゃん。マルタンは香水会社に戻ったが、やはり性にあわず島に帰ることに。奥さんもえらいわね〜。ネリーと出会ったホテルにくると、支配人が4、5ヶ月前に預かったという手紙を出した。ネリーだった。マルタンがいつかここに来ると信じて、自分の居所を残していったのだ。マルタンはフランスの片田舎に行く。どんな関係かしらないが、若い夫婦や子供といっしょに、ペンキ塗りをしている、農婦のようなネリーがいた…退屈しないで見ておれるのは、ドヌーヴがネリーを、場末に生きる女であっても嫌味のない女にしたことと、モンタンの「女にふりまわされる男」が、マイケル・ダグラスみたいにおおげさでなく、自然体で演じているからでしょ。

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