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特集「春が来た、3月のベストコレクション」

2018年3月1日

特集「春が来た、3月のベストコレクション」①
おとなの事情(2017年 コメディ映画)

監督 パオロ・ジュノベーゼ

出演 アルバ・ロルヴァケル

シネマ365日 No.2405

おとなは臭いものに蓋?

特集「春が来た、3月のベストコレクション」①

 ロッコとエヴァが幼なじみを招き、テーブルを囲んで7人が集まる。エヴァがスマホをオープンにしよう、電話はスピーカーにしてメールも公開する、誰も秘密はもっていないのだからいいでしょ…どこまで本心か知らないがかなり偽悪的な提案。三組の夫婦とゲイの男が一人。ビアンカ(アルバ・ロルヴァ)とコジモは新婚カップル、ロッコとエヴァは反抗期の娘に悩み、レレとカルロッタは倦怠期だ。ケータイはすべての秘密が詰まるブラック・ボックスだという監督の意図でこの映画は作られた。その夜は月食だった。マンションのベランダからみる月が欠けていくにつれ、ないはずの各人の秘密が暴かれる。終始部屋の中だけのワン・シチュエーションのセリフ劇だ▼レレは毎晩8時にメールが写真付きで入る、具合が悪いからケータイを交換してくれとペッペに頼む。二人は同じ機種だ。レレのケータイに「あなたが欲しい」とメール。妻のカルロッタは「誰、これ」発信者は男だとわかった。「会社の同僚さ、僕に惚れているのだ」。エヴァはローマで豊胸手術を受けるつもりだったことが判明する。ロッコに娘から電話。「今夜ボーイフレンドに誘われているの。パパがコンドームをくれたときは嬉しかった。パパはママがどんなにひどいか知らないのよ」聴いているエヴァは青ざめる。娘のバッグにコンドームを見つけたが、夫は「知らない」とシラを切り、挙句「君は厳しすぎるよ」と娘の肩を持ったのだ。コジモのケータイには「指輪は気に入った? ピアスはどう?」とメール。「お前に贈ろうと思って買ったのだ」妻は言下に「嘘ね。ピアスの穴は開けていないわ」。さらにマリカからのメール「テストしたのだけど陽性らしいわ。妊娠したみたい」。夫の浮気にビアンカはトイレに走って吐く。カルロッタのケータイに「もしもし、今日もノーパンか?」▼監督は意地悪くケータイが暴露する秘密を並べ立てる。カルロッタ曰く「ゲイだったらもっと早く教えて。愛はないのに罪悪感からあなたから離れられない。私たちはなぜ一緒にいるの? 別れ方を学ぶべきね」。ケータイを交換しているからゲイはペッペなのですが、レレは友情に厚くバラさない。コジモは妻との間に子供が欲しいといいながらとっくによそで女を妊娠させていた。おまけに「ピアス」の相手は親友ロッコの妻エヴァである。トイレから真っ赤なルージュを引いたビアンカが出てきてコジモにいう「お母さまに孫ができることを知らせたわ。喜んでいらしたわ」そして結婚指輪を置いて出て行く。外は月食が終わり煌々たる満月となった。一同帰宅することに。マンションの外に出るとビアンカがいた。何事もなかったようにコジモと手をつないで微笑む。車の前にカルロッタが立ってレレを待っている。彼らは打ち揃って月食が終わった空を見上げる▼なにこれ。ビアンカの指輪はどうなった。みんな元通り、いつもの生活に戻ったってこと? おとなってそういうことだ、ほじくられたくない秘密の一つや二つはみな持っている、でも秘密にしておく限り誰も不幸にはならないっていうこと? それにしても浮気だ、妊娠だと秘密ありすぎ。軽妙で軽快なテンポで進んだ映画の割に、後味はさっぱりしなかった。こういう「おとな」って「臭いものに蓋」っていうだけのことじゃない。かっこ悪すぎだわ。エヴァはカウンセラーだけど彼女の露悪趣味も噴飯物ね。自分は浮気しておいて娘にエラソーに説教垂れるなよ。カルロッタも、たかがパンツ履かないことをバラされたくらいでオタオタすんな。キャサリン・トラメル(「氷の微笑」)を見習え。