女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「春が来た、3月のベストコレクション」

2018年3月16日

特集「春が来た、3月のベストコレクション」⑯
人間の値打ち(2016年 家族映画)

監督 パオロ・ヴィルズィ

出演 ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ

シネマ365日 No.2420

21万8976ユーロ

特集「春が来た、3月のベストコレクション」

歓びのトスカーナ」に同じ監督・主演女優の作品。でも本作は完全にタイトル負けね。「人間の値打ち」とは保険で補償するお金の換算のことかよ。ラストの字幕にこう出ます。「被害者家族には保険から218976ユーロが支払われた。慰謝料は被害者の推定年収や将来性、遺族の人数や関係などを考慮して算出される。保険用語では人的資本、すなわち人間の値打ちだ」。即物的な「値打ち」ね。ジャケ写はこうくる。「ミラノ郊外の美しい豪邸を舞台に、人々の欲望が複雑に交錯する。人間の真の価値とは何かを問う傑作サスペンス」。サスペンスでもないし、欲望の交錯でもないわよ。監督の時間軸の転換が巧妙だから複雑に見えるけど。主たる登場人物は4人。不動産屋のディーノに娘のセレーナ、投資ファンドを手がける富豪のジョバンニとその妻カルラ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)だ▼上流社会に憧れるディーノは銀行から借金して危険な投資に手を出し激損、娘は普段から冴えない父親をバカにし継母であるロベルタに打ち解けない。ロベルタは精神科医だ。彼女はとてもいい人なのに、娘は頑なだ。ある夜ひき逃げ事件が起きる。セレーナの彼氏であり、カルラの息子の車が現場で目撃され、警察は息子を疑う。これがバカ息子で母親に口の利き方も知らない。カルラの不倫の現場を息子は覗き、母親の弱みを握ったからますますつけあがる。カルラは富裕層の妻にありがちな、生きがいを見出せないウツロ症候群(←勝手に名付けています)である。ミラノの伝統ある劇場を保存するため買い取ってくれと夫に頼み、夫は世間知らずの妻にできるはずはないと思うが、いうことを聞いてやる。運営委員会に加わった脚本家を芸術監督にして、勢いとはいえ彼と寝た。夫は株で大損、買い取った劇場はマンションに建て替えることにし芸術監督もパー▼ひき逃げ犯は誰か、が映画の焦点なのだが…こういうところが安易だと思うが、いきなり途中からドラマに入ってきたルカだ。ロベルタにセラピーを受けに来ていた青年だ。彼がササッと描いたスケッチに、セレーナは自分の本質を見破られたような衝撃を受けたそうだ。どう見てもそうは思えんが。ルカにはヤクの売人の叔父がいる。いずれ刑務所行きだろう。セレーナとルカは互いに一目惚れし、ルカを警察に渡すまいとセレーナは偽証する。バカバカしい。さっさと弁護士をつけて服役させ、キレイな体にして将来のこと決めるのが彼を「愛する人」のやることだろ。人騒がせな娘だわ。カルラの夫のジョバンニがいちばんクールです。差別主義者なのには辟易するし、彼の仕事ドップリが妻を孤独に追いやったのだし、ある意味ディーノを破滅させたのは彼のせいでもあるのだけど、周りがあんまりウザッタイので、彼の乾いた感性がさっぱりと映るのよ。ディーノ親父は本業に身を入れろ。カルラはどんな小さなことでもいいから糧となる仕事を持て。セレーナはロベルタを信頼しろ。息子は…いちばん始末が悪いけど、謙虚にビジネスの厳しさを父親から学ぶことね。