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特集「夏こそベストコレクション」

2018年7月24日

特集「夏こそベストコレクション」①
シェイプ・オブ・ウォーター(上)(2018年 ファンタジー映画)

監督 ギレルモ・デル・トロ

出演 サリー・ホーキンス/マイケル・シャノン/オクタヴィア・スペンサー/リチャード・ジェンキンス

シネマ365日 No.2550

幻想の主人公たち

夏こそベストコレクション

綺麗な映画ね。1960年代、冷戦時代の宇宙ステーションに、アマゾンで捕獲した半魚人が運ばれ、巨大な筒型の水槽に入る。センターの掃除婦イライザ(サリー・ホーキンス)と半魚人の愛情物語がテーマです。イライザは発声障害でしゃべれない。耳は聞こえる。同僚のゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)が、いつもイライザをかばい、遅刻しそうになって走ってくるイライザに「カモン」、自分の前に入れてタイムレコーダーを打たせる。「横入りしないで」と列の後ろでわめく仲間の叱声も一喝で押し返す、肝っ玉のアフリカ系女性だ。有人衛星打ち上げで、ソ連としのぎを削っている宇宙センターで、ホフステトラー博士は、半魚人を宇宙空間に打ち上げようとする。半魚人は両生類で、肺とエラの二つの呼吸機能があるからだ。博士はロシアのスパイだが、アマゾンの原住民たちが神と崇める「彼」の、優れた身体機能に美と敬愛を感じている▼半魚人を奇形物としか見ないのが警備の責任者ストリックランド(マイケル・シャノン)だ。彼は妻と子供たちに囲まれ良き夫、やさしい父親の仮面の下に残酷な本性を隠している。センターの職員たちが帰ってから、電流棒で半魚人を拷問する。イライザとゼルダは誰もいなくなってから掃除する夜勤である。イライザは血だらけになってラボから転がり出てきたストリックランドを見た。半魚人が彼の左手の薬指と小指を食いちぎったのだ。従順な生き物ではないらしい。半魚人は平たい水槽に移された。そばで夜食を食べていたイライザは、ゆで卵を水槽の淵に置く。半魚人が頭を出した。「たまご」と手話で伝える。半魚人が水かきのある手でひったくって水に潜った。イライザは卵を淵に並べると半魚人は姿を現し、何やら感謝を表すようだ。イライザは蓄音機を持ってきて音楽を聴かせてあげる▼イライザの友達のジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)はゲイだ。ハンサムなバーテンのいるレストランに行き、「うまい」と褒めてケーキを食べたり買って帰ったりするが、実はまずくて冷蔵庫にたまっている。夫から顧みられず家庭で孤立しているアフリカ系のゼルダ、ゲイのジャイルズはバーテンから「ここは健全な店だ、出て行ってくれ」とあしらわれ、話せないイライザは人に溶け込めない、異郷から来たクリーチャーの半魚人。ロシア人のスパイながら、体制側と対立して半魚人を守ろうとする博士。同時代の社会からはみ出した、心やさしく孤独な人たちを、トロ監督は幻想の主人公に選びました。ストリックランドは、自分の価値観以外を認めず尊敬もしない、冷たい現実の壁を象徴し、生体機能を明らかにするため、「この美しい複雑なシステムを殺すな」という博士の意見を無視して解剖を主張、受け入れられます。

 

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