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特集「B級映画に愛をこめて」

2018年8月21日

特集「B級映画に愛を込めて9」⑥
キャットファイト(2017年 コメディ映画)

監督 オヌール・トゥケル

出演 アン・ヘッシュ/サンドラ・オー

シネマ365日 No.2578

マッドネス120%

B級映画

大学時代から宿敵の二人が、とあるパーティで再会する。ヴェロニカ(サンドラ・オー)とアシュリー(アン・ヘッシュ)だ。ヴェロニカは戦場のゴミ処理業で儲けた男のセレブ妻。毎晩ワインをガブ飲みする。酒癖が悪いから夫は外へ連れて出るのがいやなのに無理についてくる。アシュレーは買い手のない気色悪い絵を描く画家で、この日は会場で、アルバイトでバーテンをやっていた。ヴェロニカは冴えない境遇のアシュレーを見下してイヤミを降り注ぎ、アシュレーもトケトゲしく言い返し、階段の踊り場で拳の応酬、ひざ蹴り、殴り合いの大ゲンカ。ヴェロニカは階段から転げ落ち入院して2年間昏睡、目を覚ましたら夫と息子は中東戦争の現場で事故死に戦死。財産は治療費に使い果たし、ヴェロニカは元メイドの家に身を寄せるが、性格の悪い彼女は家人から嫌われ、追い出される▼アシュレーはその逆。彼女のグロテスクな画風が戦争の惨禍と合い展覧会では完売、今や人気ナンバー1の画家となっていたばかりか、パートナーとの間に念願の妊娠を果たしていた。それを知ったヴェロニカは掃除婦となった自分の身と比べ悔しさに逆上。画廊に乗り込みバトル2が展開。頭にレンチを振り下ろされたアシュレーは入院、2年間意識不明で気がつけば絵はすべてアシスタントが売払い一文無しになったうえ、子供まで失い、パートナーは男と結婚していた。ヴェロニカはたった一人の叔母を頼り山中のコテージで暮らす。そこへ訪れたアシュレー。「ケリをつけに来たわ。私はすべてを失った。憎しみでいっぱいよ。あなたを破滅させたいの」「もうやめましょう。入って。ランチはどう? オムレツを作るわ」。しばらくフツーの会話が続き、ヴェロニカが息子の声と映像が入っているビデオを見せる。アシュレーがコーヒーをこぼす。画像がブレ、ヴェロニカは半狂乱。たちまちバトル「3」展開。木立の下で暴れている二人を、帰宅した叔母が無表情にながめている▼女同士の「キャットファイト」を誰か喜んで見るのだろうか。必要と思えないのに簡単に家族を死なせたり、子供を亡くさせたり、後味のよくない展開を、それでも引っ張っていくのは、サンドラ・オーとアン・ヘッシュの弾けぶりだ。終始ムスッと歩く地雷のようなサンドラと、凍れる刃のようなアンが理由なんかクソくらえ、髪の毛を引っ張るとかひっかくとか、小手先の技ではない。モロ拳で打ち合うのだ。登場人物の男性はみな早々に退場して、残った女はいやらしい奴ばかり。主役二人はもとより、アシスタントときたら「見下されて潰れる人もいるけど私は別。あなたを大嫌いだったけど、私の成功が最高の復讐になるのよ。あなたはおしまい。恋人にふられ、赤ちゃんを失った」そして「ちょっと、コンビニでマスタード買ってきてくれない?」元雇い主を顎で使い留意を下す。監督も出演者も、まさか、こんな映画を女は喜ぶと思っていたのじゃないでしょうね。