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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2018年9月19日

特集「LGBT映画に見るゲイ10」268
クレオ/レオ(1989年 劇場未公開)

監督 チャック・ヴィンセント

出演 ヴェロニカ・ハート/ジンジャー・リン・アレン

シネマ365日 No.2607

女は復権する 

特集「LGBT映画に見るゲイ10」

 監督がチャック・ヴィンセント、主演がヴェロニカ・ハートとジンジャー・リン・アレンといえば誰しもハード・ポルノだと思うかもしれない、でも待った、確かにジンジャーの爆弾ボディに、ヴェロニカが喫驚するシーンはありますよ、でも二人は仲良くひとつベッドで寝て、寝ぼけたリンがヴェロニカに抱きつくだけ。何が言いたいのかというと、ポルノ映画の三大トリオが揃って、ハードでも何でもない、ストーリーこそ漫画ですが意外とまともな映画なのです。レオ社長は女性を虫ケラ扱いする言語道断のワンマン経営者、傲慢でエッチで、人使いが荒く、二言目には「クビ」。秘書は胸の大きさで選ぶというセクハラで殺されても当然の男。1980年代は平気でこんな映画が作られていたのです▼普段から女の恨みを買っていたレオは、ある夜発砲され川に落ちる。這い上がってきたら、なんと女性クレオ(ヴェロニカ・ハート)にセックス・チェンジしていた…ははん、ピンときた方おられますね。世界文学史上ヴァージニア・ウルフの傑作、まさか「オルランド」のパクリでは。まるっきりパクリではないですが基本精神は一緒。男から女に、女から男に、理由も根拠もなくチェンジする荒唐無稽のおふざけには、ウルフもあの世で爆笑したでしょう。レオはクレオと名乗ったが、意識は男性である。歩き方も、だからガニ股で椅子に座っても開脚、喧嘩になると強烈パンチでゴロツキをのす。レオ社長が行方不明、後継に甥が社長になり社名まで変えてしまった。秘書を募集中の甥が面接に来たクレオのボインにクラクラ、早速採用した。机がジンジャー・リン(役名は忘れた)の隣である。ジンジャーはクレオと気が合い、自分のアパートに居候させる。クレオに一目惚れしたのがレオ社長の工場で働くボブ。クレオにデートを申し込むがレオは男には興味がない▼甥の会社乗っ取りを知ったクレオは阻止するべく株を買い集める。株が操作されていることに感づいた甥一味は、正体がクレオだと知って殺すことにする。クレオは会社で、それまでペコペコしていた役員幹部が、こぞって自分の悪口を言い、甥にすり寄っていくのに呆然、こんないい加減な連中と仕事していたのか。「社長は死んだ、俺が社長だ」という甥にボブだけが「死んだとは限らない、問題点はあったが彼は会社をここまで大きくした。クビは口癖だったが従業員を解雇せず仕事を与えた」。それを聞いたレオは(こんな忠実な部下がいたのだ)と感激。女の身で町に出ればチンピラどもがたかり、会社ではセクハラされ、社長のいいなりにならなければそれこそクビ、レオは女になって初めて社会の女性蔑視を痛感する。甥に雇われた殺し屋がクレオを襲撃、彼女は川に落ち、上がってきたときは正真正銘、クレオになっていた。レオの埋葬を済ませたクレオは、株の過半数を所有し社長就任、忠実なボブと親友ジンジャーを補佐役に、甥を追い出す。女性の復権、勧善懲悪を絵に描いたようなお話。アホらしくならずに見られるのは、ヴェロニカ・ハートとジンジャー・リン・アレンが生き生き、のびのびしているからでしょう。ビデオに押されて凋落するポルノ映画界で、それでもポルノを作る製作者と女優たちを描いた「ブギーナイツ」は、本作へのオマージュでは…と思えるほど「オルランド」あり「ブギーナイツ」あり、名作に波及するところが多い作品です。