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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2018年9月23日

特集「LGBT映画に見るゲイ10」272
シュガースイート(2001年 ゲイ映画)

監督 デズリ・リム

出演 北川さおり

シネマ365日 No.2611

セリフの幼いこと 

LGBT映画にみるゲイ特集10

 本作は2001年の公開。それを考えると2016年「アルビノ」に至る邦画のゲイ映画はすごい進化を遂げていたのね(「キネマ純情」は2016年だったけど)。未消化ではあるものの、素人っぽさが初々しいとほめるべきか。セリフまわしも何いっているのだか、よく聞き取れない箇所がいくつもあるし、顔面筋にも変化がないし、それでもアップに映す胆力が素晴らしい。主人公ナオミ(北川さおり)は、男性向けレスビアン・ポルノを作ろうとしている監督。でもプロデューサーからは「退屈だ」「ありきたり」「刺激がない」ボロクソにこき下ろされ、友だちからも不評ふんぷん。がっくりきてインターネットのチャットで気晴らししようとする。このあたりまでの導入部からしてすごいわ。プロデューサーとは名ばかり、ドヤ顔のオッチャン二人が、口を極めて罵っているから、まるで虐待よ。いくらポルノ映画づくりだからって、ここまでインテリジェンスをかなぐり捨てた男たちがいるものなの?▼タジタジとしながら、でも始まったばかりだし我慢して見ることにする。チャットでシュガーのハンドルネームの女の子に出会う。メールのやり取りを通じてシュガーは、あるときは励まし、あるときはなぐさめ、勇気づけてくれる。ふうん。まあ、人間って、かなり落ち込んでいるときでも、おしゃべりがいちばん気分転換になるから、これはこれでよし。しかしこの監督のタマゴも、仕事の打ち合わせには遅刻するわ、たかが女の子同士の合コンで叩かれたからってへたってしまうわ、意気地のないやつねえ。こんなアバウトな女性像なのに小道具だけはやたら具体的なのよ。コルセットみたいなディルドをつける、クソていねいにゴム装着までやる、ところがいざベッドになると、カメラは暗視になり、もぞもぞと何かやっているのだけど、肝心なシーンをはっきり映さない。おかしいわ、この感覚(怒っても仕方ないけど)▼シュガーは大手外資系企業に勤める総合職で、バリバリのキャリア・ウーマンだけど、やり手すぎて男たちから浮き上がっている。彼女はゲイだから男を相手にしないと噂が立ち、シュガーことミキは鼻で笑い飛ばしているものの、理解者がいないことはやはりつまらない。多少リアルっぽい話になるのかなと思っていたら、ミキはバーで女の子をナンパし、積極的にナオミに近づく。ナオミはシュガーが好きだから、悪いけどゴメン、とミキの誘いを断る。ミキとシュガーが同一人物であることをまだ知らない。まあせいぜいこの程度の筋書きですから、半分もしないうちに先が読めてしまう。新宿2丁目のクラブやらアダルトグッズやら、それなりに目移りさせようとしてくれているみたいだけど、子供じゃあるまいし、今さら2丁目を案内されたところで感激あるでしょうか。「Lの世界」を思い切り縮小したような、女の子同士の感情のすれ違いや、いさかいはあるものの、これがいちいち軽いのだ▼女の子二人が同棲していて、一人が部屋に帰るともう一人が甲斐甲斐しく夕ご飯の支度をしていて「○○子の好きなパスタ作ったンだよ、食べて」とかいって皿を進める。相手の女の子は涙ぐみそうになって「ゴメン、××子のこと大事にしていなかった」とかいって抱き合う。この映画を見ているとき、同時進行で「シネマ365日別冊/1日3分ゲイ映画のキメ台詞」(「キャロル」)を書いていたので、書き出すべきいい台詞がないか聞き耳を立てていたのだけど、どだい台詞が幼いのよ。学生言葉の羅列でね。もっとも映画というのはすべてがすべて傑作・佳作・名作でなくても一向に差し支えない。それにしてもよく頑張った、わたしのことよ、最後まで見たのだから。