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特集「最高の悪役」

2018年9月29日

特集「最高の悪役3」④ レイトン・ミースター
ザ・ルームメイト(2011年 劇場未公開)

監督 クリスチャン・E・クリスチャンセン

出演 レイトン・ミースター/ミンカ・ケリー

シネマ365日 No.2617

地獄の天使 

特集「最高の悪役3」

 帰ってきた「ルームメイト」。最初の「ルームメイト」から19年。日本では劇場未公開でしたが、第一作に勝るとも劣らぬ怪作です。ストーリーは判でおしたように同じですが、本作のどこがよかったか、まず主演のレイトン・ミースターです。それに加え監督が「悪魔が棲む家666」のクリスチャン・E・クリスチャンセン。ホラーに強い監督です。サラ(ミンカ・ケリー)は大学でルームメイトになったレベッカ(レイトン・ミースター)の一方的な思い入れに翻弄される。まるで過保護な保護者のように、サラに付きまとい逐一干渉するが、自分を心配するあまりの行動だとサラはいいふうに解釈していた。でもサラの友人が「レベッカは異常よ」と忠告したとたん、彼女はシャワー室で(「サイコ」へのオマージュか)恐怖の脅しを受け、学生寮を移転する。邪魔者はイチ抜けた▼頻繁に電話をかけてよりを戻そうとするサラの元カレは、サラの声色で「会わない」と通達し、それでも会いにやってきた彼を殺す。サラが受講する教授に色仕掛けですりより、口説く男の声をケータイに録音、教授はクビ。サラのボーイフレンドも殺されかけるが、逆襲したサラがレベッカを刺殺する。かなりのバイオレンスです。しかしながら筋書きといえばワン・パターン極まる「ルームメイト」がなんで三作も作られたのか。スリリングな展開よし、病的なヒロインの設定もよし、女優たちの好演もよし、いくつか理由は思い当たりますが、一言でいえばすこぶる付きの悪役の存在にある。初代のジェニファー・ジェイソン・リーに始まり今作のレイトン・ミースターなんか、怖気をふるう殺人鬼です。彼女がセレブの家の一人娘、親のクレジットカードで使い放題、趣味の美術鑑賞は変わった絵が好きとはいえ、ハイセンスである。かなり奇妙とはいえ、知的レベルの高いレベッカだから、サラも無碍に扱わなかった。招かれた実家は豪壮な邸宅で、両親は腫れ物に触るごとくサラを扱う。やがて彼女が総合失調症であり、社会不適合者であるとわかりますが、そんな解説は不要。彼女は生まれながらの反社会的人間なのです▼欲しいものを手に入れるのに一瞬の躊躇もない。サラが好意を見せた相手は(猫でさえ)速やかに排除する。レベッカが寮の廊下に座り込んで待ち伏せする姿は地獄の天使。レイトン・ミースはまたそれによく似合う容貌です。ポチャポチャした人の好い、丸顔の女優だと冗談にしかならない。このアンチ・ヒーローに女性は萌えた。お金があって教育があり、頭がよくてアブノーマルな純情を貫く。彼女の欲望は抑制が効かない。欲しいとなったら手に入れるためにウソをつきだまし、陥しいれ殺すのだ。ビョーキである。だから最後は死んでくれるしかオチのつけようはないのだが、むむむ、どこかで女たちは自分の闇に沈んだ二重性を垣間見るのではないか。欲望と嫉妬、自分の愛情を理解してくれない(誰もできないだろうが)苦しさに七転八倒し、気にいらないことはすべて人が悪いと決めつける豪快な無責任。ここまで自己肯定できたら怖いものはない、そんな無敵の悪役をレイトン・ミースターは怪演しています。