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特集「ベストコレクション」

2018年10月1日

特集「秋たけなわのベストコレクション」①
トゥームレイダー/ファースト・ミッション(2018年 アクション映画)

監督 ロアー・ウートッグ

出演 アリシア・ヴィキャンデル

シネマ365日 No.2619

可愛らしすぎ 

特集「秋たけなわのベストコレクション」

 ヒロイン、ララ・クロフト(アリシア・ヴィキャンデル)が、可愛らしすぎて凄みがありません。アクションというより冒険ファンタジーですね。別にララ・クロフトでなくても「ナショナル・トレジャー」や「同2」のノリといえばいい。先代ララ(アンジェリーナ・ジョリー)が鋭かったぶん、わり食ったかな。でも二作目はすでに約束ズミ、アリシアが目を剥くようなタフなララになっているかもね。評価は彼女の肉体改造がすごいとベタホメに誉めてあるのばかり。実際よく頑張ったと思うけど映画はタルかったわ。魔の海の孤島まで行くのにダラダラ引っ張りすぎて、到着したらたちまち特撮の連続だし。女優アクションの醍醐味というほどでもなかったですね。アリシアは小柄だから損をしている。シャーリーズ・セロンなんか現れただけで圧倒するのは、いつにかかって高身長だからよ▼ドン柄が大きければ大女優か、なんて言うつもりはないよ。ジョディ・フォスターもスカーレット・ヨハンソンも、ジュリアン・ムーアもアナ・ケンドリックも、ルーニー・マーラもクリステン・スチュワートだって、エヴァ・グリーンもサンドラ・ブロックも、今や教祖的メリル・ストリープにしても普通だけどみなビッグだ。小柄なクリスティーナ・リッチが「モンスター」でシャーリーズ・セロンと、「耳に残るは君の歌声」でケイト・ブランシェットと共演したときは、身長段差のおかげでものすごく可愛らしく見えた。大塚ひかりさんは「源氏物語の身体測定」で、登場人物オールスターの体格体型を分析し、体が意味する印象と性格をものの見事に分析しておられる。アリシアが見惚れるようなアクションヒロインに育つことを期待しよう▼本作は日本に大いに関係があります。発端は卑弥呼伝説である。古代の女王卑弥呼は不治の病原体に感染したことを知り、他に及ぼしてはいけないと魔の海の孤島に自らを隔離して死んだ。となると「古事記」にさかのぼることまでは望まないにせよ、せめて魏志倭人伝か大和朝廷のハシリくらいには触れるのかと思ったら、日本をパスして香港にロケだって。日本という国はとことん異質なのね。物語の主たる舞台になる国の取り上げ方は難しい。トム・クルーズがえらいと思うのは、リサーチが真摯だからよ。「ラスト・サムライ」の日本へのアプローチは光っていた。「MONZEN」でも、ローカルな禅寺の修行を手抜きせずきちんと押さえていた。文化こそダイバーシティ(多様性)の粋です。日本映画だってよそさまの国を、十全に理解しているとは言いがたいけど、本作劇中に出てきた漢字が「忍耐」とはどういうこと。我慢させときゃいいってこと? アジアへの上から目線を感じたわ▼背景への付け焼き刃が目立ったのもこの映画を軽くしている。エンタテイメントに目クジラたてるつもりはないけど、セクシュアリティは無論、文化そのものの多様性がますます発信されねばならないこれからの映画作りで、ちょろい理解が物語の首を絞める危惧はありすぎるほどある。