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特集「ベストコレクション」

2018年10月9日

特集「秋たけなわのベストコレクション」⑨
アンロック/陰謀のコード(2018年 アクション映画)

監督 マイケル・アップテッド

出演 ノオミ・ラパス/マイケル・ダグラス/オーランド・ブルーム/トニ・コレット/ジョン・マルコヴィッチ

シネマ365日 No.2627

生真面目なノオミ 

秋たけなわのベストコレクション

 アンロックとは完落ち。容疑者に全部ゲロさせること。アリス(ノオミ・ワッツ)はCIAの凄腕尋問官だった。2年前パリでテロ容疑者をアンロックさせたものの、遅すぎてテロは敢行され24人の犠牲者が出た。うち6人は子供だった。トラウマを引きずったままアリスは引退、移民の就活相談所、地区センターで働いている。そこへCIAからの呼び出しが。バイオテロ容疑者の尋問だった。アリスは巧みに情報を取るが、急遽元同僚からケータイに入った連絡によって、自分が罠にかかったことを知る。かろうじてその場を脱出するが、容疑者は殺され、自分も狙われる。CIAヨーロッパ本部では本部長のボブ(ジョン・マルコヴィッチ)がもたついている部下に業を煮やし、できるやつはおらんのか、と怖い顔。「一人だけ心あたりが。しかし彼女はリタイヤしています」「呼べ」。アリスは本物のCIAに呼ばれたわけだが、一足先に偽CIAがアリスに接触していたのだ▼バイオ兵器によって地球を支配しようというテロ集団の黒幕は誰か、をめぐってストーリーは進みます。ボブはアリスが情報を掴んで敵側に寝返ったのではないかと疑う。テロ団からもCIAからも追われる身になったアリス。襲撃された彼女を元海兵隊のジャック(オーランド・ブルーム)が助ける。アリスは元上司エリック(マイケル・ダグラス)の部屋に逃げ込む。ここで本作の主役・脇役は全員揃います。いや〜、まいったな。ジョン・マルコヴィッチがあのタコ頭でヌッと登場すると(わかったぞ、テロの黒幕はお前だろ)。アリスのシロを信じるのはイギリス諜報部員エミリー(トニ・コレット)。彼女がスラッと登場した。「決まりすぎている。裏がある。陰で糸を引いているにちがいない」。オーランド・ブルームの元海兵隊。(都合よく現れすぎる。弱みにつけ込むのがうまい。彼奴が黒幕かその手先だ)。マイケル・ダグラスが、下駄みたいな四角い顔とやさしい手つきで、アリスの傷の手当をするに至っては(わかった、彼以外に本ボシはいない)▼と、まあ、見事にツボにはまる役者ばかりで、マイケル・アプテッド監督の人望力を感じる。彼は「歌え!ロレッタ、愛のために」「愛は霧の彼方に」「瞳が忘れない/ブリンク」「ナルニア国物語/第3章アスラン王と魔法の島」など、伝記ありファンタジーあり、ミステリーあり、非常に幅広いジャンルで佳品を撮っています。本作では初めてと言える女優アクションを手がけました。ノオミのアクションはシャーリーズ・セロンのように華麗でも美しくもない。そんなこと彼女自身とっくにわかっていて、突き飛ばされる、殴られる、階段から転げ落ちる、ありとあらゆるカッコよくないアクションのうえ、悪がしこい男たちには騙されトラウマに悩む、どう見ても颯爽とは言い難いヒロインを演じるのだ。ところがノオミが頑張るとリアルで、そうだなあ、かっこいいだけが主役じゃないよね、と妙にうなずいてしまう。長身痩躯のトニと並ぶと、平屋と二階建てのような身長差も親しみが持てる。背が高けりゃいいのか、美人で痩せてりゃいいのかよ、と錚々たるモデル出身の女優たちを薄っぺらにしてしまう土着力がノオミにはある。ノオミは本作を「過去の失敗がトラウマになっている主人公が、無理やり現場に戻される。今度こそ失敗できない…彼女が人生を取り戻す再生の物語です」と言っていた。あら、そうだったの。損な役割ねえ。裏切り者の下駄顔と、疑いの塊・タコ頭のために「今度こそ失敗できない」と自分にプレッシャーをかけるなんて、どこまで律儀で生真面目なの。融通の利かないそこがいいのだけど。