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特集「ベストコレクション」

2018年10月13日

特集「秋たけなわのベストコレクション」⑬
修道士は沈黙する(上)(2018年 ミステリー映画)

監督 ロベルト・アンドー

出演 トニ・セリヴィッロ/ダニエル・オートゥイユ

シネマ365日 No.2631

権力に挑む男 

特集「秋たけなわのベストコレクション」

 ドイツの高級リゾート地、ハイリゲンダムでG8の財務相会議が開かれる。開催前夜、世界経済を牛耳る天才的エコノミスト、国際通貨基金(IMF)のダニエル・ロシェ理事は、自身の誕生日を祝うため8カ国の大臣と3人の異色のゲストを夕食に招待した。ロックスター、絵本作家セス、修道士のサルス(トニ・セヴィッロ)だ。修道士がなぜ呼ばれたのか、大臣らは不審がる。部外者だと露骨に嫌な顔をする者もいた。ロシェは会食後、告解をしたいと修道士を部屋に呼んだ。本作は変化に富む内容ですが、中心は修道士と天才エコノミストの一騎打ちです。一言で言えば「世界の権力に身一つで挑む男」の話だとロベルト・アンドー監督は答えています。詳しくいうと、会議ではとんでもない議案が、富める者をますます富ませ、貧しき者をますます貧困に陥れる金融政策が決定されようとしていました。それを止められるのは修道士だけ。なぜならロシェは末期ガンでもうすぐ死ぬ。彼は一枚の数式を書いた紙を修道士に渡し、これを見てどうするかあなたが判断してくれと後を託し自殺したのです。傲慢・身勝手を絵に描いたような男を、ダニエル・オートゥイユが脂ぎっていやらしく演じています▼告解はしたが、世間話みたいなもので深い内容はありません。ロシェは死を前に自分の思考と業績を第三者に確認して欲しかった。しかし一つも感心しない修道士に「あなたの修道院に多額の寄付をした。つまり私に借りができたわけだ」と揺さぶりますが、修道士は「人の人生を操りたいようだが、私の人生には通用しない。神に捧げたので」と恬淡。ロシェは「エコノミストの使命は秩序を作り出すことだ。だが極端な現象が起こることもある。でも私がこれ(数式)を用いて計算をやれば、あっという間に巨額の資金が市場に流入する。それが私の力だ。未知数に対処する才能だ。私は通貨基金に心血を注いだ。金融マンの仕事は現在を消して未来に譲ることです」修道士「時を支配するような言葉だ。時は存在しません。魂の変数に過ぎないといった人もいる」「いいえ、金銭が時を創り出す。だから新たなことをなそうと決心した」「どんな?」「秘密です」▼要は貧しい国の発展を阻む決議である。ロシェは告解したいというが、彼の自慢話に近いし、金融政策のために身を滅ぼした会社や人間への後悔はない。「何を求めるのです」という修道士の問いに「免償を」「あなたは見返りを求めている。神が求めますか? あなたは話す内容を選択し、最も大事なことは隠す。心なき悔悟に許しは与えられぬ」「あなたとは歩む道が違うようだ」と折り合いはつかなかった。ロシェが自殺したことで大臣らは彼が会議の決定事項を修道士に告解したと思い込む。何を聞いたのか。警察はロシェと最後にいた人物が修道士であり、彼の持っていたビニール袋でとシェが窒息死した、証拠とも言えない幼稚な証拠で修道士を拘束しようとします。絵本作家のセスがいち早く危機を修道士に伝え、人道に悖る決議を阻止できるのはあなただけだ、私も手伝いますと訴える。修道士は「良心に従って決めたまえ。主はいらっしゃる。今ここにも」としか言いません。