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特集「劇場未公開」

2018年10月18日

特集「劇場未公開」④
ジョイ(上)(2015年 事実に基づく映画)

監督 デヴィッド・O・ラッセル

出演 ジェニファー・ローレンス/ロバート・デ・ニーロ/イザベラ・ロッセリーニ/ブラッドリー・クーパー

シネマ365日 No.2636

「物作り」のジョイ 

特集 劇場未公開

 2016年のアカデミー主演女優賞は、本作のジェニファー・ローレンスのほか「キャロル」のケイト・ブランシェット、「さざなみ」のシャーロット・ランプリング、「ブルックリン」のシアーシャ・ローナン。受賞は「ルーム」のブリー・ラーソン。激戦でした。着々と力をつけていたジェニファーだけに惜しかったですね。例によってジェニファーが最悪の家族と環境の中で獅子奮戦する。ジョイ(ジェニファー・ローレンス)の心強い親友ジャッキーや、意外な味方となったヘタレの元夫トニー、孫を信じて最後まで見守ってきたやさしいグランマ。でもそれ以外は言語を絶する面々。両親は離婚…したはずなのに恋人から「返品」されて家に戻ってきたパパ・ルディ(ロバート・デ・ニーロ)、ベッドで見るテレビの連続昼メロ依存症の母親テリー、腹違いの姉ペギー、ジョイの二人の小さな娘と息子▼ジョイは、昼間は小さな航空会社の地上アテンダント、夜は父親の自動車整備工場の経理を手伝う。地元の高校を首席で卒業したが、ボストン大学に進学する直前、両親の離婚で断念した。母親はジョイにべったり張り付いた膏薬みたいな女で、床にこぼしたミルクさえジョイを呼びつけて拭かせる。電話が鳴ると「ジョイ、出て」。チャイムが響けば「ジョイ、誰か来たわ」経費削減で夜間勤務になったジョイは会社を辞める。家計は貧しく、トニーは離婚したものの歌手として芽は出ず、元妻の家の地下室に転がり込み、そこへ父親が合流した。二人は天敵だった。姉ペギーはなぜかジョイに意地が悪い。パパが彼女をジョイの代理でビジネスの交渉に行かせたことで、新製品は徹底的なダメージを被る。だがそれはまだ先の話だ。とにかく劣悪な環境にジョイは首まで浸かっていた。映画はグランマ・ミミの語りで進む。「物作りが好きな人は、自分で問題解決する忍耐と集中力がある。ジョイも物作りに喜びを感じる子だ」。でもジョイの人生は挫折の連続だった。ジョイはジャッキーにつぶやく。「どの夢も遠ざかっていく。きっかけはあのパーティよ」そこでジョイはトニーと知り合い結婚したのだ。トニーが大嫌いなパパの予言は的中した「5割の確率で離婚だ」。そのパパは電話デートで知り合った未亡人トルーディ(イザベラ・ロッセリーニ)とパートナーとなり、彼女の豪華ヨットに家族ぐるみで招待された。白いデッキにこぼした赤ワインを拭くためにゴシゴシやっていたジョイは瓶の破片で手のひらを切る。血だらけで雑巾を絞っていたジョイはふとアイデアがひらめいた。「もし触らずに絞れるモップがあれば…」。娘のクリスティのクレヨンで何度も頭の中の試作品を描いた。トルーディに出資を頼む。「自分の金を無駄遣いさせないために、亡き夫は投資価値を測る4つの質問を作ったの。あなたがどこの高校出身? どんな高校生だった? 半年以内に利益を出す準備はできている? あなたの前に銃が置いてある。部屋にはあなたと相手と二人だけ。生き残るのは一人。あなたはそれまで事業を守ってきた。銃を手に取る?」「取るわ」。トルーディは出資を決める。多難な船出だった。本気なのはジョイだけなのだ。グランマ・ミミとジャッキーだけが「物作りのジョイ」を、彼女の忍耐と集中力が生み出す奇跡を信じていた。