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特集「意外な代表作」

2018年10月25日

特集「意外な代表作2」② グレタ・ガーウィグ 
29歳からの恋とセックス(2012年 劇場未公開)

監督 ダリル・ウェイン

出演 グレタ・ガーウィグ/ジョエル・キナマン

シネマ365日 No.2643

しばらくは一人で… 

特集「意外な代表作2」

 「レディ・バード」でアカデミー監督・脚本賞にノミネートされ、女性監督の第一線に躍り出たグレタ・ガーウィグ。女性の内面の成長を肩肘張らない日常的な波長で描くのは「フランシス・ハ」でもそうでした。ガーウィグの出演作の中ではやや地味目ですが、本作以後、彼女は「マギーズ・プラン―幸せのあとしまつー」「ジャッキー/ファーストレディ最後の使命」「20センチュリー・ウーマン」そして「レディ・バード」につながります。ジュリアン・ムーア、ナタリー・ポートマン、アネット・ベニングら、オスカー級と共演し、遜色ない大物ぶりを示しました。彼女にとって本作は縁起のいい映画だったのではないかと思えます。マンブルコアのお里丸出しの映画です。30歳一歩手前のヒロイン、ローラ(グレタ・ガーウィグ)はルークとの結婚を控え、挙式準備にバタバタと、幸福の絶頂にいました▼突然ルークが「や〜めた」という。ローラは不幸のドン底に突き落とされるが、この辺りはガーウィグ映画の助走だ。原因は男の浮気。ローラは男に捨てられ寂しい日々。何人かの男と付き合ったりセックスしたりするのだけど、やっぱり元の彼がいい…ローラは片手にボトル、片手に本を持って昼間のストリートをほっつき歩き、鮮魚店で知り合った「シャケ男」をテキトーにあしらい、バーに入ってポールダンスに飛び入り、「不幸と惨めさを誰かのせいにしてしまいたい。ルークとかヘンリーとか、アリスとか。でも違う、みんな私のせいなの」「この世には不確かな希望がある。だからルークこそ王子様と思い、私に会う靴がなかっただけ」。日常次元から学んだ独自の哲学を、ぶつぶつ言うローラが面白い。そこへルークが言ってくる。「離れて気がついた。やり直そう」こういう調子のいい男にどう対応するか。さすがにローラは「突然言われても…何が必要かわかってきたの。しばらくは一人で歩いてみたい」。美人だけど、どこかトロンとしたところのあるグレタ・ガーウィグの持ち味がよく出ていました。捨てられて男に走り、酒に走り、ひとつもカッコよくない。でも人生に漕ぎ出したら難破して漂流することなど「今そこにある危機」はいつでも生じるのだ。重苦しくならないローラって、それだけでけっこう、ピンチを持ちこたえる実力あるわよ。ガーウィグの映画は刺激の強い、ドラマチックな作品に比べたらかなりの「ユルキャラ」です。ローラが「ダメ女」「クズ女」に見えるかもしれませんが、ガーウィンはそれを見越して演じています。粘り勝ち、流されドク、ぬるま湯主義、ピンチの時の、いろんな処し方はあるでしょうが、男に仕返しするでもなく、怒るでもなく、当てつけるでもなく出したローラの結論「しばらくは一人で歩いてみたい」が、いちばん現実的で冷静な対応ではないでしょうか。