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特集「意外な代表作」

2018年10月27日

特集「意外な代表作2」④ ニコール・キッドマン 
ビリー・バスゲイト(1992年 事実に基づく映画)

監督 ロバート・ベントン

出演 ダスティン・ホフマン/ニコール・キッドマン/ブルース・ウィリス/ローレン・ディーン

シネマ365日 No.2645

虚無と投げやりの女 

特集「意外な代表作2」

 ニコール・キッドマンは本作で、ゴールデングローブ賞助演女優賞にノミネートされていますから、「意外な」なんてつけると怒られそうですが、これ、彼女がロバート・ベントン監督と最初に組んだ映画なのですね。次が「白いカラス」。数あるキッドマンの作品中「白い…」の彼女にいかれましたから、よほどベントマンと息があうのだろう、いわばそういう先入観で昔のキッドマンを見てみたわけ。ぶっちゃけていうと、ブルース・ウィリスやダスティン・ホフマンが顔を出している割にはまとまりがなくて、ラストもしり切れとんぼです。ニューヨークのギャングの抗争で頭角を表すダッチ(ダスティン・ホフマン)に憧れた若者ビリー・バスゲイト(ローレン・ディーン)が弟子入りを希望して、その時の決めセリフが「勉強するならキングにつきたい」といってダッチを舞い上がらせます▼しかし所詮、世間の裏を行く犯罪稼業。ダッチは殺しが解決のすべてという男で、一の部下だった殺し屋のボー(ブルース・ウィリス)も、組織の掟である「報告・連絡」を怠った、しかも敵側に寝返っていた証拠を掴み、コンクリートの箱に足を入れて固め、海に放り込んで殺します。ボーはビリーに「俺の忠告を聞け。ダッチの時代は長くない。時代遅れだ。強い組織に潰されて終わりさ。利口なら考えておけ」。でもビリーは「あの人に人生を賭けてみよう」と決心する。落ち目の男に賭けて、暗黒街を牛耳れるのだろうか。主人公としてのビリーのキャラがイマイチ弱いのです。ダッチに忠誠を貫くわけでもなく…ダッチがそれほどの、例えば「ゴッドファーザー」のようなカリスマリーダーでないことも確かですが、ビリーは本気で裏稼業の仕事を覚えるようでもない。ボーの彼女で、今はダッチの女になったのがドリュー(ニコール・キッドマン)です。26歳でした。ゲイの夫との結婚生活は社会的に体裁をつくろうだけのもので、情夫を作り、自分にのぼせあがるビリーと寝ても、愛も人生も信じていない。でも上澄みの部分はちゃっかりいただく。裏社会の女の澱(おり)みたいなものをにじませて好演です▼しかも岩場から素っ裸で池に飛び込むわ、フルヌードで風呂から出てくるわ・本作以後もケレン味なく脱いでしまう作品が多いですが、それの「脱ぎ始め」か。思うに、ダスティン・ホフマンは殺しでなんでも片付ける、時代適応のできないギャング。ブルース・ウィリスは早々と海に沈められる出番のない殺し屋、主人公ビリーはタイトルロールにもかかわらず、悪にもなれず正義にも染まらず、虚しく漂う…牧水の歌みたい。ニューヨークの裏町ブルックリンを遊泳する、虚無と投げやりがキャラメルみたいに溶け合った場当たりな女がキッドマンです▼おや。この俳優がいました。ダッチの部下のひとり、射撃の名手を演じたスティーヴ・ブシェミ。「コン・エアー」の極悪犯罪者たちからさえ恐れられる37人の連続殺人犯。彼が幼女に話しかけたあと、子供の姿が消える。さては、と黒い予感を与えておき、「コン・エアー」離陸後、無心に遊ぶ女の子を映してホッとさせた、人の悪いサイモン・ウェスト監督の傑作アクションでした。本作では射撃の名手。ヌルッとした軟体動物のような異相は一度見たら忘れられない。もちろん演技力も。ということで、本作は助演陣の二人に一票。