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特集「ダンディズム-dandyism-」

2018年11月8日

特集「ダンディズム6」② ケヴィン・コスナー 
クリミナル 2人の記憶を持つ男(2016年 スパイ・アクション映画)

監督 アリエル・ヴロメン

出演 ケヴィン・コスナー/ゲイリー・オールドマン/トミー・リー・ジョーンズ/ガル・ガドット

シネマ365日 No.2657

放っておけねえ! 

ダンディズム特集6

なにしろオスカー俳優3人です。ガル・ガドットは本作の直後「ワンダー・ウーマン」の主役が決定しました。ゲイリー・オールドマンはCIAロンドン支部の要職にあるウェルズですが、二言目には「放っておけ」「ゴミ箱行きだ」「死んでもかまわん」と冷酷極まるセリフを連発。誰に言っているのかというと、脳を移植した死刑囚ジェリコ(ケヴィン・コスナー)が、記憶の分裂に苦しみながら、それでも任務を果たそうと頑張っているのに、ちょっとでもうまくいかないと、先のセリフを吐く。すぐ切れる便宜主義のスタン的キャラをやるとうまいですね〜。そう「レオン」の、殺しても飽きたらぬ悪役「スタン」です▼ロンドン駐在のCIAエージェントのビル(ライアン・レイノルズ)が任務中死亡した。アメリカ軍の核ミサイルを遠隔操作できるハッカー、ダッチマンの居場所を知るたった一人の人物だった。あわてたCIAはビルの記憶を他人に移植してダッチマンを阻止しようとする。脳外科のフランク博士(トミー・リー・ジョーンズ)は死んだ人間の記憶を生きている人間に移し替えるのは可能だという。必要なのは機器とスタッフとレシビエント(受容者)だとし、刑務所にいるジェリコを選ぶ。あとでウェルズが「なんであんなやつを選んだ」と怒っていますから、フランクのテキトーなチョイスだったのかも。難しいけど面倒くさいからとりあえずやっておこうってノリで、トミー・リー・ジョーンズが飄々とこなします。ジェリコときたら衝動の抑制や社会適合ができず、行動の結果を考えることもない。他者への思いやりは皆無。感情を持たない。憎しみも愛情も罪の意識も持っていない。社会生活という概念も理解できない。これじゃウェルズでなくとも「なんでこんな奴!」と言いたくなるわ(笑)▼ジェリコは、彼の妻ジル(ガル・ガドット)や娘に会ううち、愛し合った記憶や娘エマの可愛さがよみがえり、切り裂かれた自分に猛烈な頭痛を起こす。ジルは最初こそジェリコを恐れるが「俺の頭の中にビリーがいる。いろんなことがわかる。でもその記憶は48時間で消えるらしい。ビリーには変な癖が…」「それよ。自分の鼻にさわるの。愛しているっていう印なの。結婚した日を覚えている?」「ああ。海岸だった」「エマを初めて抱いた日は」「幸せだった。彼は君を愛していたよ」「どこへ行くの」「わからない。ビリーが行くところへ」。記憶をさかのぼりジェリコはメモリーの隠し場所がロンドン大学の図書館だとわかる。ダッチマンはジルとエマを誘拐し、メモリーを渡さないと殺すと脅してくる。フランク博士から緊急のケータイ。「転写した記憶を固定すれば君はビルになれる。急がないと手遅れになる。すぐ戻れ」。ジェリコは母娘の救出を優先する。ウェルズがわめく。「ミサイル操作には大勢の命がかかっている。母娘は放っておけ」「放っておけねえ!」ケヴィンさま激シブ!▼ジェリコが、ビルの愛の記憶に目覚めていくためらいや分裂をケヴィン・コスナーが充分な貫目で演じます。ダッチマンの部下のスパイにアンチュ・トラウェが扮します。「黄金のアデーレ」のアデーレです。どこから見ても隙のない、うるさい俳優ばかりの陣容で、アリエル・ヴロメン監督、テンションを維持したまま撮りきりました。彼には本作の前に「氷の処刑人」という佳品があります。ラストでケヴィン・コスナーがうつむいて鼻にさわるシーン、とてもよかったです。「ワンダー・ウーマン」を先に見たからわからなかったけど、ガル・ガドットは案外キャパの広い女優になるかも。