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特集「ダンディズム-dandyism-」

2018年11月13日

特集「ダンディズム6」⑦ ジョン・ローン2 
イヤー・オブ・ザ・ドラゴン(1986年 犯罪映画)

監督 マイケル・チミノ

出演 ミッキー・ローク/ジョン・ローン

シネマ365日 No.2662

敗北を拒否した男 

特集「ダンディズム6」

 主役はミッキー・ロークかもしれませんが、ジョン・ローンのほうが断然いいですね。チャイナタウンからマフィアを一掃、腐敗した町を生まれ変わらせると情熱に燃えるベトナム帰りの刑事、スタンリーがミッキー・ローク。でも彼のやっていることは部下の前でスピーチし、不倫にグダグダ言っているだけ。妻には何の落ち度もない。彼女は言うのだ。「とことん私を使い切ったわね。使い捨てね。あなたと一緒に十字架を掲げてあなたの戦場を踏んだ。でも私より10歳若い女の元に行ってしまう。同情の余地なんかないわ」「俺は出ていけばいいのか」「二人は別世界よ」ただの倦怠期ならどこの夫婦にも大なり小なりある。でも一緒にいても未来がないと妻にはわかってしまった。彼は仕事熱心? さあ、それもどうでしょうね。ベトナム帰りの後遺症で、虚しかった戦争の空白をなんででもいいから埋めたいだけかもしれないのだ。彼の異常なまでに熱い、チャイナタウン粛清の取り組みはそう見えてくる▼義父ワン殺害の後を受け、チャイナタウンのボスになったジョーイ(ジョン・ローン)も非情な男に違いない。タイに飛んでバンコクの北800キロの奥地に行き、麻薬の仕入れを交渉する。テーブルに、地元のボスの生首をドンと置き、条件を飲まねばこうだとつきつける。スタンリーは研修生のハーバートを潜入捜査にやらせ、正体がばれた彼は殺される。チャイナタウンでは「ワンがやっていた穏やかな日々が懐かしいよ。安定した老練な指導者が欲しい」と、反ジョーイ派が台頭する。スタンリーの妻は殺され愛人のレポーターはレイプされた。手を引かなければ次は殺されるだろう。ハーバートが虫の息の下で伝えた情報によって、スタンリーは勝負をかける。最後は一対一の陸橋上の対決だ。銃を撃ちまくりながら中央に向かって男二人が走る。ジョーイが倒れ、銃口を口に入れて命を絶つ▼スタンリーは目的を達したように見える。しかし命令無視の上、暴挙に近い行動によってスタンリーは解任、チャイナタウンは相変わらず元のままだ。新ボス就任のパレードがあった。スタンリーは愛人のキャスターとともに人波の中に笑顔でいる。「俺が間違っていた。心を入れ替える。やり方を教えてくれ」と話しかけている。こうして二人は人生の再出発を図るのか。マイケル・チミノのガンアクションは壮絶だった。スタンリーの親友はスタンリーの味方ではあるものの、情動不安定に心を痛める。彼は警察に生き残り、スタンリーは左遷だ。見所は多々あるが、スタンリーのアジア人嫌いと身勝手な正義には辟易する。で、どこにも平安のない人生のはずだったスタンリーは、とどのつまり愛人と幸福をつかむのだ。ぼけているわ、この映画。スタンリーに人生を振り回された妻と部下がかわいそうだ。イヤー・オブ・ザ・ドラゴンって単に辰年のことじゃないの? 内容と関係あったかしら。このへんからしてずれていて、収拾にとまどうストーリーだったにもかかわらず、敗北をはねつけるように逮捕を拒否し、死んでしまったジョーイがクールだ。