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特集「偏愛力」

2018年11月30日

特集「偏愛力5」⑫
黒い箱のアリス(2018年 SF映画)

監督 サドラック・ゴンザレス=ペレジョン

出演 ロウェナ・マクドネル/ジュリアン・ニコルソン

シネマ365日 No.2679

鍵はタイムマシン 

20181125偏愛力7

アリス(ロウェナ・マクドネル)は父親が運転する事故で母親と自分の右腕を失った。精巧な義手をはめ、極太・中太・極細の3本の円柱を義手で掴む練習をしている。「パパなんか大嫌い」と言って練習を投げだすのは、母親を死なせたのはパパだという、恨みだろう。彼女が「ママ」と呼ぶのは白い犬だ。アリスの言葉を理解し、人間の言葉でしゃべる。パパは「あれはママじゃない、犬だ」と言っても受け付けない。冒頭でパパは侵入してきた男にバットで殴り殺される。そこで場面転換。パパは生きていて森の中の一軒家で娘と二人暮し。建築のコンペで入賞したような、近代的デザイナーズハウスだが、間取りの見当がつかない。リビングもなさそうだし、台所はあったが、料理の匂いすらしない。ひたすら無機質な家なのだ▼アリスは森の中で黒い立方体に出会う。カシャっと窓が開いて中の紙片を取ると自分の筆跡で「彼らを信用しないで」とある。彼らとはパパが森で助けた姉エリカと、弟ポールだ。エリカはキャパクラふうムード、ポールは喋れない。ママ犬は「危険な匂いの姉弟ね」。外を見ていたママ犬が不審者を感じ「アリス、パパを呼んできて。守ってもらうのよ」。パパと口論の絶えないアリスが、黒いキューブに会いに行くと中に紙片があった。「4時きっかりにヘッドホンで聞いて」。その通りにしたらヘッドホンから自分の声が「二人を信じちゃだめ、ピアノの部屋のパパに外に男がいたから見に行って、というの」。パパが出て行くと「キッチンでポールを探して。私の声に気付かれたらだめ。じきエリカが来る、やるなら今よ」。ポールを殺せというのだ。「私を信じて彼を殺るの。エリカが来たら彼女も」アリスはためらい殺せない。声は「アリス、恐ろしい結末になるわ。迷っていないでいますぐ殺って。お願いだから殺して。すぐ」アリスはできない。声は疲れたように「黙るわ。幸運を祈っているわ」で消える▼時間軸が煩わしくて何のことかわかりにくいのですが、森に出現した黒いキューブはタイムマシンで、未来のアリスがパパ殺し、自分殺し、ママ犬殺しを防ごうと、予告しに来ていたのです。パパに復讐しようとする侵入者が、姉弟を先に家に送り込み、完全セキュリティを開けさせてパパ殺しをやる、ママ犬もアリスも殺してしまう。未来からそれを見たアリスとパパは、タイムマシンを作動させ、過去に遡って事故を防げばもとどおりになるはず。アリスは黒い箱に入り込む。エンド。黒い箱がタイムマシンだと判明して、やっと辻褄があったというか。それにしてもここまでストーリーをグジャグジャにする必要ある? 喋る犬の発想は面白かったけど、ミステリーっぽく上手に仕立ててあるものの後味はよくない。アリスが義手で極細の筒を掴む練習を繰り返していたのは、過去に戻って車のキーを掴むためね。一旦キューブに入り、中過去に戻ったアリスは殺された父を見て、ポールも侵入男もエリカも殺しちゃうのですけど、また現在に戻って、根本的にやり直そうとパパと合意に達し、大過去に戻ることにします。ストーリー全体が、ゆきつもどりつの繰り返しですきっとしないわね。そもそも森の中の洒落た一軒家なんて、いくら完全セーフティ装備でも(だから中から開けさせる必要があったのですが)住むのに現実離れしているわ。「エクス・マキナ」も同じような豪邸だったけど、あれはAIの特殊研究所という設定だったし。登場人物が全て、殺す、殺される、の繰り返しも途中で飽きがきました。意味はよくわからんが謎めいた雰囲気の好きな人、どうぞ。