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特集「ディーバ(大女優)」

2018年12月7日

特集「ディーバ17」ロミー・シュナイダー⑦
恋ひとすじに(下)(1959年 恋愛映画)

監督 ピエール・ガスパール=ユイ

出演 ロミー・シュナイダー/アラン・ドロン

シネマ365日 No.2686

転機そして開眼 

DiVA特集17 ロミー・シュナイダ

本作は大悲恋だ。時代は1906年のウィーン。駐在の竜騎兵少尉フランツ(アラン・ドロン)とオペラ座の歌手デビューを目指すクリスティーネ(ロミー・シュナイダー)が燃え上がる。ロミーは嬢ちゃん、嬢ちゃんして、ウブな事この上ない。アラン・ドロンは年上の男爵夫人レーナと一年越しの情事にふけっているが、持ち重りしてきて別れたがっている。そこへ現れたのがクリスティーナだ。どっちも惹かれ合い、日曜ごとにデートするようになる。アラン・ドロンはノペッとした能面のような二枚目で登場します。容貌に絶対の自信があります。いきなりですが、ドストエフスキーの「悪霊」の主人公、スタヴローギンはこんな感じじゃないかと思いました。ぞっとするような美貌で感情の流出がない。何を考えているのかわからない。冷たく女を弄び妊娠させて捨てる…フランツもスケールの違いはあれ、女に対してはかなり勝手な男です▼軍事練習の間、女と情事に耽るフランツにクリスティーネは諭す。「そういうことはいけないわ。女の子をだますことよ。何も知らない女の子のアタマをイカレさせて、将校たちにとってはただのゲームだなんて。私ってバカな女ね。あなたを好きになって、後になって憎み合うのね」。純粋なクリスティーネに、フランツは男爵夫人との仲を清算することにする。夫人は若いツバメの別れ話を信じない。女をイジイジさせるいつもの手だと思っている。ところが今回フランツが言い出すお別れの言葉が、見事に身勝手なのだ。さてはこれは本気だと夫人は気づく。レーナ「最後に会った時は愛していると暗闇で囁いたわね」フランツ「愛していたというつもりだった。悪いと思っている。でも僕は幸せなんだ。彼女と話す前に君と別れたかった。今後もいい友達でいてくれる? いいね」夫人は開いた口がふさがらない。「彼女は名家の出身でもなく財産もない。僕しかいない」「なぜ結婚なんて?」どう考えてもフランツと結婚は結びつかない。でもそうなっちゃったのだ▼レーナの夫・男爵の気づくところとなった。クリスティーネは一度だけ遠目に黒い服を着た夫人を見たことがある。以来不吉な予感がしていた。男爵はフランツに決闘を申し込んだ。当時の正規の決闘はお互いがサインして同意を証明する。男爵は狙撃の名手だ。フランツはクリスティーネにさりげなく別れを告げに行く。立会人の元、先に撃つのが男爵。距離は20歩。こんな近距離から名手に撃たれれば助かりっこない。フランツは死ぬ。クリスティーネはオペラ座の試験に合格し、父親(オペラ座のチェロ奏者)に知らせようと飛んで帰ってきた。待っていたのは遺体安置所のフランツだ。「決闘、なぜ?」テオに訊く。彼は一切の事情を伏せ「理由は知らない」。「あの女のためにフランツは夫に殺されたのね。彼は別の女のために死んだのね。私はなんだったの。彼にとってなんでもなかったのね」。クリスティーネはベランダから身を投げる。原作者シュニッツラーの憂愁・繊細・耽美な心理小説を理解しえない者としては(死なんでもエエやろ)と思うのですが、深くは追求しません。ロミーとどこかニヒルなアラン中尉を見ていればすむ映画。ジャン=クロード・ブリアリが役得でした。ロミー・シュナイダーは本作の共演を機に、彼と一生の親友になりました。彼女の女優人生を思えばアラン・ドロン、ルキノ・ヴィスコンティによって女優開眼し、大転機となり、得るところ多かった映画です。