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特集「B級映画に愛をこめて」

2018年12月19日

特集「B級映画に愛を込めて10」⑤
アナーキスト愛と革命の時代(2016年 社会派映画)

監督 エリ・ウジュマン

出演 アデル・エグザルコプロス/タハール・ラヒム

シネマ365日 No.2698

大人になったアデル

B級映画に愛を込めて10

アデル、ブルーは熱い色」でデビューしたのが19歳、衝撃的だっただけに後に続く映画がしんどいな〜と思っていたアデル・エグザルコプロス。本作と前後して「ラスト・フェイス」でシャーリーズ・セロンの従妹役、セロンを好きなエイズ感染者の従妹というチョイ役で出ました。やっぱり(この程度の扱いになったのか)と、アデルのために残念だったけど、本作は堂々の主役です。あんまり似合っているとは思えなかったけどね。フランスの1899年というから、日本では明治中期ですね、どこも社会変革の波が押し寄せ、政府転覆を目指すアナーキストたちが主人公。アデルはヒロイン、ジュディットです。彼女は潜伏捜査官ジャン(タハール・ラムヒ)と愛し合う仲になる▼ジャンの仕事はリーダー格エリゼの情報を警察に流すことです。ところがエリゼの恋人がジュディットだった。エリゼの信頼を得たジャンは結果的にエリゼとジュディットを裏切ることになります。アナーキストたちはみな貧しく、恵まれない生い立ちです。ジュディットは小学校の先生になりたかったが、資格を取るにはお金がいる、パリでお針子をして細々と暮らしていたとき、こんな社会は間違っていると叫ぶアナーキストグループに出会い、活動を共にするようになりました。「アデル、ブルー」が出来すぎていたから、あとが続かず女優廃業するのではと心配していたのですが、アデルの、どことなく落ち着いている持ち味や、うっすら口を開ける癖は本作でも変わらず。だからキスシーンのとき相手役は(大丈夫かな)と、余計な心配がアデルという子にはついて回ります。あちこち脱線ばかりしているのは、映画そのものがゆるいからです。アナーキストの活動は資金繰りのための空き巣狙いだとか、強盗だとか、だんだん社会のクズみたいになっていくのが悲しい。エリゼはジャンが好きなのですが、プラトニックに終始します。別に残念がっているわけではないですが、エリゼがジャンより切れ味のいい男だったので、こっちのほうをしっかり描いて欲しかった▼ジャンの情報提供によってアナーキストたちは一網打尽になります。エリゼは自殺し、ジャンはジュディットの目の前で潜入捜査官の正体がバラされる。ジュディットは逃走して行方不明となった。後日彼女から手紙が来る。アメリカにいる女友だちが学校を開くので、ジュディットに来て欲しいと頼んできていた。ジュディットにすれば夢がかなうわけで、すぐにも渡米したかったが、ジャンとの恋愛で吹っ切れずにいた。でもこれで後顧の憂いなく新天地へ出発。かわいそうなのはジャンで、気にそまぬ潜入捜査官を引き続きやらされる。彼の上司が嫌な男で、孤児のジャンが力のある後ろ盾を持っていないと見て、エラソーにしまくりだ。たいした破綻もなくまとまっているのだけど、ここぞ、という盛り上がりのない映画なのよ。よかったわね、ジュディット。頑張ってね、ジャン、いい人はいくらでもいるわよ、くらいしか思いつかないのがつらい。アデルって子、案外しっかりしていると思えるし、役の選択によっては伸び代があるのでは。あの落ち着きぶりはたぶん、天然だろうけど。