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特集「銀幕のアーティスト」

2018年12月23日

特集「銀幕のアーティスト9」①
ゴッホ 最期の手紙(上)(2017年アニメ、伝記映画)

監督 ドロタ・コビエラ/ヒュー・ウェルチマン

シネマ365日 No.2702

死をめぐる謎 

 オランダ人画家ゴッホは、1890年7月27日、南仏オーヴェールで自分の腹を撃ち、二日後宿で死亡した。本作はゴッホが死んだ翌年1891年アルルに始まります。本作は全編ゴッホのタッチで125人の画家が描いた手描きの絵によるアニメです。最高の技術のレベルによって完成された傑作に脱帽。もうひとつ、自殺とされるゴッホの死に他殺説を絡ませ、ミステリーとして追跡した非凡な着想に拍手。ゴッホとは誰だったのか。映画の進行とともに膨らむ謎と解明は、ゴッホの画業と生涯に、新しい指針を与えるでしょう。ゴッホが出し忘れていた手紙をパリの弟テオに届けてくれという、郵便局長の父親の依頼で、息子のアルマンは出発する。生前迷惑をかけられっぱなしだったゴッホのためになぜこんなことをする、息子は不承不承引き受けました。ゴーギャンとの決裂や、耳切り落とし事件など、ゴッホの伝記ですでに知られている事件が述べられていく▼パリの画商タンギーの店に着いた。「もはやテオに手紙は届かんよ。彼は兄の死の半年後に死んだ。兄の死後テオは急速に衰えた。彼は病弱なうえ、兄の死に打ちのめされた」。ゴッホの死は畑で絵を描いている時、銃で自分の腹を撃ったとされる。テオは幼い頃から兄は不幸だったという。叔父と一緒の画商を目指すが解雇、父と同じ牧師になるには試験が難しすぎ、伝道師となるがその職も解雇された。テオは兄を信じ、兄が戦うべき時は自分が必ず味方すると誓った。ゴッホは28歳から絵を描き始めた。画商を営むテオの援助のもと、勢いは止まらなかった。ゴッホのことを芸術に殉じたと人は言うが、信じられん、たった8年で素人が影響力のある芸術家になれるものか?」ともあれタンギーは「手紙を託すのにふさわしい医師がいる」。アルマンはオーヴェールに医師ガシェを訪ねに行く。ゴッホの人となりは人によって極端にわかれた。「邪悪な人だった」とガシェ宅の家政婦。「彼の目は淀み、狂気を帯びた眼差しだった」。ゴッホが泊まっていた宿の娘は「彼があの日帰ってきた時様子が変だった。ガシェが呼ばれて診察した。弾を取り出してくれとゴッホが頼むのに、彼は何もしなかった。午後テオが来た。誰も真相はわからなかった。やがて夜になり、熱が上がり弱っていった。午後1時半頃テオが部屋から降りてきた。無言のうちに私たちは悟った」▼アルマンは娘の助言で、川の好きなゴッホがよく行った貸しボート屋を訪ねる。親父は言う「薄汚いカラスが近づくと嬉しそうだった。食べ物をとられても平気。どれだけ孤独な男なのだろう。カラスに慰められるなんて。そうだ、ガシェの娘とここへ来たよ。放浪者みたいな男が不相応な娘と付き合ってどうなるのか。だからガシェの娘は毎日ゴッホの墓に花を供えるのさ」。アルマンは再び娘を訪ねた。家政婦がいた「私が教会に行く途中、村の若者たちと酔って神をバカにしていたよ」。宿に帰ると娘はこうくる。「あの一家は信用できない。ガシェは俗物。ゴッホは礼儀正しくやさしかった」。ますます糸はもつれていく。