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特集「お正月/愛と勇気のわく映画」

2019年1月1日

特集「お正月/愛と勇気のわく映画」①
パッチ・アダムス(上)(1999年 事実に基づく映画)

監督 トム・シャドヤック

出演 ロビン・ウィリアムズ/モニカ・ポッター/フィリップ・シーモア・ホフマン

シネマ365日 No.2711

生の質を高めるのが医者

お正月 愛と勇気のわく映画

 自殺癖のため精神病院に任意入院したハンター・アダムス(のちパッチ・アダムス=ロビン・ウィリアムズ)は、ジョークで患者たちを笑わせ、心を癒す能力に気づきます。患者の一人にアーサーがいました。ビートン産業の創業者。驚異的な頭脳の持ち主でありながら今は窓の数も数えられない。「天才病ってやつさ。人間の創造性を掘り下げるあまり、掘りすぎた」。彼は新入りに広げた指を数えさせる。「4本」と答えたアダムスは「また愚か者が来た」とバカにされる。アーサーの部屋を訪れ「指のなぞなぞの答えを教えてほしい」と頼んだ。「指は何本見える?」「4本」「違う。指でなく私を見ろ。問題ばかり見ていると答えが目に入らない。指の向こうを見るのだ」視点を変えると指は8本に見えた。「そうだ。人に見えないものを見ろ。恐れと怠惰で人が見ようとしないものを。すると新しい世界が見えてくる。君は見所がある」。アーサーはコーヒー液の漏れる紙コップを直したアダムスに「君はパッチ(直す)だな」と微笑みます▼2年後パッチはヴァージニア医科大に入学しました。おじさん新入生です。ルームメイトのミッチ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は理工学優秀賞を取った秀才。「君はその年で医者に?」と完全に上から目線。パッチは陽気に「僕は小学校でウサギの絵で金賞を取ったよ」。パッチは美人のカリン(モニカ・ポッター)にアプローチしますがあっさり振られる。振られ者同士のトルーマンと友だちになる。新入生に医師の心得を訓示した学部長に「軍曹のシゴキ演説だ。臨床は3年になってからなんて、それまで教科書の暗記だけか」不満を訴えるパッチ。彼には自分がなるべき医師としての明確なヴィジョンがありました。彼の生き方は終盤の「退学異議申し立て」に端的に述べられますので、先に引用します。学業成績はトップだが校則に違反してばかりいるパッチに、業を煮やした学部長が退学を言い渡し、パッチは不服として審査委員会に判定を仰いだのです▼「アダムス君、無免許でのクリニック活動は違法だ。君は山中の家で治療行為をしているのだね」。「治療という言葉の定義は何でしょうか。山小屋に訪れる者は患者であり同時に医者です。彼らは他人の面倒を見ます。食事の世話、入浴、話を聞く、などです。広義解釈ですが、つまり医者です。人を助けるのが医者なのでは?」「その結果患者を死に至らしめたらどうする」「死が悪いのですか。なぜ死を恐れるのです? 死に人間性と尊敬とユーモアを与えてはいけないのですか。死を遠ざけるのではなく、生の質を高めるのが医者の務めです。病気が相手なら負けることもある。でも人間が相手なら医者である前に人間同士でありたい。人と対話し、彼らの希望を聞き、できる限り寄り添う。あなた方は私から免許と白衣を奪えるかもしれないが学ぼうとする魂を抑え込むことはできない」。そこへトルーマンがぞろぞろ子供達を連れ入ってきた。小児病棟で辛いガン治療を受けていた子供達は、パッチのパフォーマンスで笑いを取り戻していた。看護師たちも規則破りを知りながら見て見ぬふりをした。入室した子供達は浣腸器の赤いボールを鼻につけ、ピエロに扮していたのだ。パッチ・アダムスが創設したホスピタルクラウンの“デビュー”だった。