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特集「お正月/愛と勇気のわく映画」

2019年1月6日

特集「お正月/愛と勇気のわく映画」⑥
ヘルボーイ(2004年 ファンタジー映画)

監督 ギレルモ・デル・トロ

出演 ロン・パールマン/ジョン・ハート/セルマ・ブレア/ダグ・ジョーンズ

シネマ365日 No.2716

君を愛し続ける 

お正月 愛と勇気のわく映画

 異世界への入り口、地底の迷宮、海底の闇、半人魚、半獣人、変成者、廃墟の研究室で開発されるグロテスクな怪物、ネジやゼンマイが精緻に作動する美しい、あるいは大仕掛けの小道具。これらはギレルモ・デル・トロ監督の愛するアイテムです。本作はトロ監督40歳の時の作品ですが、後の「クロノス」や「シェイプ・オブ・ウォーター」の原型が揃っています。現代のアメリカで、超自然的な存在を退治する超常現象調査防衛局のエージェント。ロシアの怪僧ラスプーチンによって呼び出された悪魔が、赤ん坊の姿で生まれた、ブルーム教授(ジョン・ハート)は彼を、魔物を退治するエキスパートに育て上げた。防衛局にはヘルボーイのほか、サイコメトリー能力(残留思念を読み取ることができる)半魚人のエイブ(ダグ・ジョーンズ)と念動発火できるリズ(セルマ・ブレア)が、厳重に隔離された地下の研究室にいる。ただしリズは自分の特異性を恐れ、何度も脱走し現在は精神病院に身を隠している▼ヘルボーイは大男だ。身長205センチ、体重159キロ、赤い肌、頭には切り取った角の後、チョンマゲを結っているのは日本贔屓のトロらしい。彼は怪力だが性格は子供のようだ。ユーモアがあって、水槽にいるエイブといつも冗談を言い合い、猫好きで、10匹の猫と暮らす。ラスプーチンは世界転覆を企てる悪漢として蘇る。彼の愛弟子がナチス随一の殺し屋カールだ。自分の体を醜いと思う自傷癖があり、唇とまぶたを切除し、細菌の感染をおそれるため、常に防毒マスクを装着する。悪のグループの最強の手下は怪獣サマエル。ラスプーチンが召喚した冥界の悪魔で、爬虫類と恐竜の合体した巨体で瞬間移動し、何メートルもある長い舌は猛毒を分泌する▼ヘルボーイはリズが好きだがうまく伝えられない。彼女がFBI捜査官ジョンとデートするのが苦々しくて仕方ない。しかしブルーム教授が殺され、ヘルボーイはリズとエイブと力を合わせ、最強の敵に立ち向かう。いや〜、「ハンズ・ラビリンス」の友情と思いやり、「パシフィック・リム」の魔界への突入、「クリムゾン・ピーク」や「MAMA」のダークファンタジーの世界。みなこたえられませんが、本作はなんといってもヘルボーイことロン・パールソンのキャラが出色です。彼は純真で誠実な男です。「俺が嫌いなんだろ」とリズに訊く。「俺を連れて歩くと笑われるから。俺もこの顔をなんとかしたいが無理だ。でも二つ約束する。今より醜くならない。君を愛し続ける」。リズもヘルボーイが好きなのですが、気が強すぎて素直に言えない。彼女はラスプーチンに魂を抜かれようとする。絶体絶命。ヘルボーイはついに「地獄の子」の底力を爆発させます▼トロ映画が世界で愛される理由がわかる。ディズニーのようにスマートではなく、主人公は泥臭く偏屈で意固地だ。深刻ぶらずタメ口を叩きながら、でも愛を捧げ、命を賭けて何かをやり遂げることが生きる価値だと知っている。トロの主人公たちには悲劇的なまでに一途な一面があります。トロはそんな男や女が好きなのです。