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特集「お正月/愛と勇気のわく映画」

2019年1月9日

特集「お正月/愛と勇気のわく映画」⑨
オーシャンズ8(上)(2018年 コメディ映画)

監督 ゲイリー・ロス

出演 サンドラ・ブロック/ケイト・ブランシェット/アン・ハサウェイ

シネマ365日 No.2719

アウトサイダーのオーラ

お正月 愛と勇気のわく映画

 超豪華な女子会です。華やかな配役とテンポのいい進行、頭がよくてスゴ腕で一筋縄ではいかない、そのくせ仕事(泥棒)に献身的な女たち。キャスティングと役のキャラクターが楽しい。サンドラ・ブロックがぼそぼそと抑揚のないセリフ棒読みは、カトリーヌ・ドヌーブの無表情と一大特徴ですし、ケイト・ブランシェットが時々見せる、漫画チックなまでに大げさな演技は冴えわたる。ヘレナ・ボナム=カーターとアン・ハサウェイは「赤の女王」「白の女王」(「アリス・イン・ワンダーランド」)ならず、はめるワルと、はめられる(はずの)大スターという立ち位置。ケイトと「キャロル」で元カノを演じ息が合っていたサラ・ポールソンは、天性の口のうまさと人さわりのよさで、どんな職場にも溶け込んで情報を集める人タラシを。無敵の天才ハッカー、神業のスリ、天をも欺く模造ジュエリーデザイナー、彼女らの超絶プロの技とチームワークが華麗に展開します▼そもそもデビー・オーシャン(サンドラ・ブロック)の出所。一市民として地味に、新鮮な空気を吸って暮らしたい、と神妙に出所後の誓いを述べたデビーは言葉と裏腹、コテコテの服にメーク、高級化粧品をゲットし、豪華なホテルに無料宿泊。右腕ルー(ケイト・ブランシェット)に大仕事の計画を打ち明けようと連絡を取る。デビーとあったルーは車の中でガバッ、思い切り抱きつき「ムショ帰りなのよ。お手柔らかに」とデビーは女子寮の舎監のごとく謹厳に注意する。この二人、どんな仲なのか具体的には触れていませんが、スプーンの一匙をデビーが「テイク・ア・バイト」とルーの口元に。仕事に「一枚噛め」の意味です。ルーは「腹立つ女」とニヤリ。スプーンを含む。ちょっとしたシーンですがいかんせん、サンドラとケイトですから、色っぽさ皆無。サクサクしつつも濃い友情が、仕事を終えたデビーを迎えに来るルーによく表れている。「ガバッ」と「…(無言)」。こういうメリハリの利かせ方が、何人の女優と共演しようと、ケイト・ブランシェットの存在感をしっかり出しています▼あ〜、こんなことばかり書いている先に進まない。切れ者のルーが持ち前の選択眼で、大仕事の役割を担う人材をリクルートします。腕はみな一流でなければならぬ。何となれば世界最大のファッションの祭典「メットガラ」で、大女優ダフネ(アン・ハサウェイ)が身につけている、1億5000万ドルの宝石(別称トゥーサン)をいただくのだ。彼女の体からどう盗む? その段取りと実行段階のプロセスが秀抜です。司令塔デビーと練り上げたプランを、作戦本部長ルーが実戦部隊に徹底する。前半のヤマ場は、ローズ(ファッションデザイナー=ヘレナ・ボナム=カーター)とアミータ(どんな模造品も作りあげるスゴ腕ジュエリー職人)を、カルチェ・ニューヨーク支店に送り込むことです。この映画の楽しさの一つは、皆がみな発しているアウトローのオーラが、私たちを非日常次元に連れていってくれることです。アウトローとは暗い存在と見なされがちだった。しかも女だ。劇中ルーが「これは?」と推薦した写真を一瞥したデビーが「男はダメ。女がいい。無視されるから」と辛口のセリフ。世間は女を軽く見ている。無視している。犯罪をやってのけるには願ってもない。何の罪の重荷もない。大仕事をやり遂げる快感が彼女らをそそる。その誘惑に乗らいでか。全然甘くない女たちの蜜は「泥棒」。