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特集「最高のビッチ」

2019年1月23日

特集「最高のビッチ7」③ シャロン・ストーン
グロリア(1999年 アクション映画)

監督 シドニー・ルメット

出演 シャロン・ストーン/ジョージ・C・スコット

シネマ365日 No.2733

二人のグロリア

特集「最高のビッチ7」

 本作が公開直後、オリジナルの「グロリア」に比べ、映画評がケチョンケチョンだったことを覚えています。かわいそうに。シャロン・ストーンという女優は、男を腹ただしくさせる何かがあるのね。もちろんオリジナルはいい映画だけど、シャロン・ストーンの「グロリア」もよかった。しかも監督はシドニー・ルメットだ。ニューヨークを撮るルメットに凡作があるとは思えないのだ。ただ一つ違う点があるとすれば、グロリアのキャラだろう。ジーナ・ローランズのふてぶてしい鉄板の情婦に比べ、劇中よく泣く、もしくはすぐ涙ぐむ情の女がシャロン・ストーンだった。どっちの映画も出色だったのは、ヒロインが初めてスクリーンに登場する場面だ。ドア・スコープから見たジーナ・ローランズが俯き加減でタバコを吸っている。シャロン・ストーンが刑務所の小さな窓から外を見ている。彼女は釈放を待っている。ムショからの眺めもこれが最後だ。刑期は3年だった。過ぎてみれば早いわね…セリフには出ないけれど、どことなく感慨深さをただよわせた背中である▼オリジナルのヒロインには回想などない。逃げるのみ。走りに走るのみ。世話の焼ける6歳の男の子を叱りながら、手放そうとしない。いや、するのだけどね。でもそんな自分の薄情さが嫌になってつい追いかけてしまう。そういうシーンであってもジーナ・ローランズはふてくされている。シャロンは男の子がすぐ可愛くなる。寄宿学校に預けることにするが、いよいよこれでお別れの日、学校の玄関の前を車でぐるぐる回りながら、子供を車に乗せ、逃走する。ギャングの仲間とおさらばして人生を変えたいのがグロリアの嘱望だった。子供を背負い込むのは負担のはずだが、別々になると考えるだけで涙がにじむ。グロリアがムショに入ったのは男の罪をかぶってやったからだ。しかも口を割らなかった。だから男はノホホンと今もギャングをやっておれる。グロリアは約束の金をくれと詰め寄るが「俺たちの仲は金だけじゃないだろ」なんて言われ、シャロンなら丸め込まれるのではないかと心配した▼でもシャロン・グロリアはギャングたちを銃で脅しながら、所持品を巻き上げ金に変え、センスがいいとは言えないファッションで街を走るのだ。街じゅうがギャングの縄張りでどこに行ってもばれる。クタクタになって安モーテルに入り、ほっと一息ついて、男の子はグロリアに「母親になってもいいよ」と言う。このまま放っておけば遠からず、この子も刑務所行きの男になる。シャロン・グロリアは「生きるのは大変なことよ」と子供にいいきかせる。学校に行って勉強し、社会の仕組みや約束事を覚えるのだ。「コロンビアーナ」にもありました。殺し屋になるのだから学校なんか必要ないと言い張るコロンビアーナに、アタマの悪い殺し屋はすぐ殺される、まず勉強しろと諭す叔父さんがいましたっけ▼ジョージ・C・スコットがギャングのボス役で出演しています。何度もオスカー候補になりながら一度もレッドカーペットに姿を見せなかった人。テレビ出演はありましたが、映画では本作が遺作となりました。独特の風貌と風格に信念がにじんでいる俳優です。最後のセリフは、血の気の多い部下たちを一言でビシャっと抑えるこれ「グロリア、子供を連れて行け」でした。