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特集「最高のビッチ」

2019年1月25日

特集「最高のビッチ7」⑤ バーバラ・スタンウィック2
教授と美女(1941年 劇場未公開)

監督 ハワード・ホークス

出演 ゲイリー・クーパー/バーバラ・スタンウィック

シネマ365日 No.2735

ハリウッド最強のコンビ 

特集「最高のビッチ7」

 8人の学者がある財団の所有する屋敷に閉じこもり、百科事典の編纂に携わって10年、出資者の娘が進捗状況をチェックに来るが、ポッツ(ゲイリー・クーパー)は「全力を尽くします」というだけで、実務がはかどっているようにも見えない。ゴミ収集人が図書館と間違えて入ってきて、クイズ番組の答えがわからないから教えてくれと頼む。彼の口からポンポン発せられるスラングに教授たちはポカン。ポッツは「ここにいては時代の言葉はわからない」と街に出て現代用語をリサーチすると決心。ナイトクラブで出会ったストリッパーのオーシェイ(バーバラ・スタンウィック)のスラングと彼女自身に興味を持つ。彼女の愛人でありギャングのボス、ジョーは殺人事件の関与が疑われている。警察はオーシェイから情報を聞き出そうとするが、彼女はもちろん非協力的だ▼ゲイリー・クーパーとバーバラ・スタンウィック、当時のハリウッドの最強コンビであるうえ、監督がゲイリー・クーパーと相性のいいハワード・ホークスです。ホークスは「ヨーク軍曹」でクーパーにアカデミー主演男優賞をもたらしています。おまけにバーバラ・スタンウィックは、どんなビッチをやっても品が悪くならないという、ソンしているのかトクしているのかわからない、稀有な女優です。警官に追われ屋敷に逃げ込んだオーシェイに、堅物の教授たちは色めき立つ。「白雪姫と小人たち」が「ストリッパーと教授たち」のバージョンに変わっています。先生らの身の回りの世話をしている家政婦ブラッグは、オーシェイの言語道断な振る舞い、物言いに「すぐに出て行って」とえらい剣幕ですが、教授たちは飛来したエイリアンを見るように、オーシェイが珍しく、可愛く、興味しんしん。「君がいたら仕事にならない」というポッツに、「あなたに会いたいからきたのよ」と、口から出まかせのオーシェイ▼オーシェイの居所を知ったジョーが屋敷に来る。ポップの自己紹介は「年収3200ドル。信用調査ならロックフェラー財団かプリンストン大学へ」。ジョーは鼻で笑い「あの女が年収3000ドルの男と結婚すると思うか。毛皮は一度しか着ない女だぞ」。やがてオーシェイがジョーと偽装結婚するために自分たちを騙していたと知った教授らは、百科事典の編纂に集中することで女を忘れようとするが、肝心のオーシェイが、ジョーとの結婚に「うん」と言わない…ホークス得意のスクリューボールコメディで、テキパキとシーンが変わり、歯切れのいいセリフがグイグイ引っ張ります。筋書きなんて初めからわかっているようなものなのに、バーバラ・スタンウィックの脚にうっとりする教授たちや、ゲイリー・クーパーの筋金入りの堅物ぶりが笑わせます。クーパーは長身で、小柄なスタンウィックはキスしようとして「ダメね、届かないわ」と踏み台を持ってくる。「ヤムヤムよ」「ヤムナムって?」「これよ」と言ってしっかりキス。残り7人の先生たちは羨ましそうに見る、とまあコメディの王道を行く映画です。アバズレのギャングの情婦が、純情なポッツをかばっています。鉄火肌の姐御をやらせたらバーバラ・スタンウィックは天下一品ですが、自分の身の上の哀しさに、一瞬かすめる慚愧の表情に、そのへんの女優ではない繊細なニュアンスを出しています。