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特集「最高のビッチ」

2019年1月28日

特集「最高のビッチ7」⑧ サルマ・ハエック他
五日物語(上)(2016年 ファンタジー映画)

監督 マッテオ・ガローネ

出演 サルマ・ハエック/ヴァンサン・カッセル/ステイシー・マーティン

シネマ365日 No.2738

勇猛果敢、3人の女

特集「最高のビッチ7」

 「五日物語」の作者は17世紀、ナポリの詩人だったジャンバティスタ・バジーレの民話集。「ボッッカッチョ」の「十日物語」にちなみ「五日物語」とした。映画では「3つの王国と3人の女」という副題がついている通り、民話を基にしたダーク・ファンタジーです。キモイ話ばっかりでして、短く言うと、子供が生まれないことを嘆く王妃が、子供が授かるよう魔法使いに頼む。この世の願い事はすべてタダとはいかん、代価が必要だと魔法使いは厳かに宣告する。二番目の話は女にウツツを抜かす国王が、ある夜歌声に引き寄せられ一軒のあばら家を訪れ「その美しい顔を見せてくれ」と頼む。住むのは老姉妹で「シワだらけの顔をどうしよう」と慌てる。姉ドーラはチャンスとばかり、一週間後にきてほしいと時間稼ぎをする。どうするのかというと、「私の体の一部をお見せします。それだけでも私の全体の美しさはわかるはず」と図々しいことを言う。三番目は適齢の王女がいる王国の話。娘は城にばかりいると退屈だから冒険したいと父王にせがむ。父王は「結婚して城を出たら永久にここには戻れない。しばらく我慢しろ」と諭すが、ならばいい婿を探してくれと娘は懇請する。父王はー少し話をはしょるがー婿選びコンテストをして、あるなめし革の元の動物を当てた男を婿にすると姫に約束した。正解は山の奥地に住む鬼だった▼ここまでだと、「子供を産まない女は価値がないのか」「若く美しいだけが女の価値か」「結婚に血道をあげるだけが女の人生か」というツッコミが入るのですけどね、でも違う。民話とは表面的な「撫で撫で」で収まるお話の集大成ではない。本作は主人公を女性に絞っています。彼女らは決して構成のハリウッドに現れるスーパー・ハンサム・ヒロインではありませんが、当時の社会の厳しい縛りを受けながらも勇敢に突き進む…とにかく勇猛です。まずサルマ・ハエック扮する最初の王妃。魔法使いは「海のドラゴンの心臓を切り取り、生娘に一人で料理させ、それを食べれば身ごもる」。王妃は国王に「あなた、潜ってドラゴンをやっつけて」。妻を愛する国王はザンブと海か湖か知らんが不気味な水中に。ぐさっと剣で一突き、見事仕留めたがドラゴンの反撃で命を落とす。魔法使いのいう通り「誕生には犠牲がつきもの」。あえなく国王は犠牲になり、王妃はケロリ、十日後に王子エリアスが誕生した。随分早いが、まあいい。同時にドラゴンの心臓を料理した処女は、大鍋に心臓(スイカほどもあります)投げ込むと煙が立ち上り、たちまち妊娠して王子と同じときに息子を産んだ。これがジョナです。二人は双子のように仲がいい。王妃は気にいらぬ。ジョナを殺しかけるがうまくいかず、身の危険を感じたジョナは城を離れ森に姿を隠します。白い部屋で黒い喪服を着たハエックが、真っ赤な心臓に口の周りを血だらけにしてかぶりつくシーン。時代考証の整った華やかな衣装と、白だけの幻想的な部屋がグロテスクさを際立たせています。