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特集「最高のビッチ」

2019年1月29日

特集「最高のビッチ7」⑨ サルマ・ハエック他
五日物語(下)(2016年 ファンタジー映画)

監督 マッテオ・ガローネ

出演 サルマ・ハエック/ヴァンサン・カッセル/ステイシー・マーティン

シネマ365日 No.2739

女とはグロテスクか 

特集「最高のビッチ7」

 淫蕩な隣国の王(ヴァンサン・カッセル)は約束通り若い美女(ト思い込んだ)女性と一夜を共にするが、朝になって彼女が老婆だとわかり窓から放り出す。女のほうも欲と二足わらじで、姉ドーラは妹インマに頼んで、しなびた胸の補正ブラや、背中のシワ伸ばし下着を身につける涙ぐましい努力をしたのだが、あえなく玉砕。窓から墜落し森の木に引っかかっているところを魔女に助けられた。魔女に抱かれるとドーラの肉体はたちまち若々しい皮膚と容貌、艶やかな長い髪を取り戻した。若返ったドーラがステイシー・マーティンだ。「ニンフォマニアック」の鮮烈なデビューに続く本作、「ハイライズ」「ゲティ家の身代金」といい作品に恵まれる▼王とドーラは結婚することに。祝宴に招かれた妹インマは姉が若返った秘密を聞かせて欲しいとしつこく聞き、自分でもわからない姉は面倒になって「皮を剥いだのよ」。真に受けた妹は理髪師(当時は外科医を兼ねていた)に皮を剥いでくれと頼む。ジョイの後を追ってエリアスは失踪し、気も狂わんばかりの王妃は魔術師にエリアスを返して欲しいと。「やはり犠牲が伴います」と魔術師。「今さら驚くとでも」王妃は決然と答える。ジョイを探す王子は森の洞穴でジョイを発見したものの、魔物に追われ死に物狂いで倒す。彼らが洞窟を逃げ出した後、魔物は砂となって崩れ、姿を現したのは変わり果てた王妃だった。鬼の岩窟に連れて行かれた王女は脱出の隙を狙い、綱渡りの名手がいる軽業師の家族に救われる。綱の橋を握って追ってきた鬼はあえなく谷底に。ところが彼は生きていて軽業師の家族を皆殺しにする。王女は鬼の胸にすがり、元いた岩窟に帰る意志を見せる。鬼は肩に乗れと手真似し、背負ったとたん、女は後ろから鬼の首を掻き切り、宮殿に戻ると「これが父上の選んだ男です」と鬼の生首を袋から出して見せる▼娘の願いをまともに聞かず、ペットのノミを飼育し、ノミが栄養過剰で肥満死すると、皮を剥いで婿のコンテストに用いるという奇癖オヤジだった。王は悔い、王座を娘に委譲し、晴れやかに戴冠式を行う。隣国の王と妃となったドーラも参列した。しかしその席でドーラの魔法は解けてしまい、再び皺だらけの手、あれた肌が浮いてきた。おののいたドーラは誰にも気づかれず宴の城から去る。皮を剥がれたインマは全身血まみれで街をさまよっている。欲望、犠牲、逆境、逆転、血の代償。3人の女の周りで、何人もの人が命を失った。鬼の婿殿にしても哀れだ。軽業師の家族は惨殺された。王妃たちは「代償は覚悟の上」だったし、若く美しい栄華は一時にせよかなったし、権力と王位は継承したし、どんな目にあったとしても文句はないであろう。本作は何が言いたかったのか。女とはグロテスク。女とは魔物、女とは残酷。女とは浅はか。女とは狡猾。女とは地獄の生き物。みな当たっている。だから著者は女を弾劾しているのか、というと、そうとも思えない。彼女らが強くアクティブに、エゴイスティックに案件を処理した行動力が、時代を超えて今に示唆するイメージは骨太だ。映像の美しさも特筆すべきだろう。鬼の妻となった王女の城、石造りの宮殿ハイヒルズの王宮、女好きの王の城はそそり立つ丘の上のストリングクリフ城、ドラゴンの住処アルカンターラ川、王妃が息子と戯れる幾何学的秩序美の極致、ドンナフガータ城の迷路は、実際にロケされた。