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特集「ベストコレクション」

2019年2月18日

特集「春の星/如月のベストコレクション」⑧ 
あなたの旅立ち、綴ります(上)(2018年 社会派映画)

監督 マーク・ペリントン

出演 シャーリー・マクレーン/アマンダ・セイフライド/アン・ヘッシュ

シネマ365日 No.2759

とにかく憎たらしい人 

特集「春の星/如月のベストコレクション」

 新聞社に来て訃報記者アン(アマンダ・セイフライド)を呼びつけたハリエット(シャーリー・マクレーン)は自分の訃報記事を書くように言います。クレージーな婆さまとみなしているアンは、デスクに脚を乗せ横柄な態度で接する。一呼吸おいて、ハリエットはアンの書いた記事がいかにデタラメかを指摘する。「ロイス・シュンケン、動物愛護家死去。78歳…彼女は悪趣味なパーティにゴシップ屋。ロイスのそばに7分以上入られたのは野良犬だけ。天性の歌手ユージン・ベイカー…なぜ彼女は歌っていたと。酔っ払っていたからよ。メアリー・ラモス…長い闘病の末安らかに…。あなたはクズみたいな連中を立派な人に仕立て上げた。私のも書いてもらうわ。私は合理的な女なの。だから自分の訃報記事を他人に任せるのは耐えられない。月曜日までよ。いいわね。話は終わり」問答無用でアンは追い出される。いつの間にか脚はおろしていた。編集長がこわごわ顔をのぞかせた▼編集長をアゴでつかうこの女性は誰? ハリエットは、新聞社最大のスポンサーである広告会社の元社長で悠々自適の現在。アンはハリエットから渡されたリストを元に取材を始める。元夫「結婚した時あいつは改名しなかった。当時そんなことをする女はいなかった。男の同僚や上司の中で生きていくのは、男の倍の能力と強さが要った。それをあいつは持っていた。いつも自分を信じていた。あいつが唯一笑うのは自分の間違いに気づいた時だった」。彼女の婦人科医「彼女は自分で診断した。いつも正確だった。診察料を返したわ」。美容師「店に来て髪を切ってと言った。いま他の方の髪を切っていると言ったらその客を追い出した」。牧師「とにかく憎たらしい人でした。聖体拝領のパンとワインにまでケチをつけた」他に「彼女のことは忘れたくてセラピーに通っています」「彼女が死ぬのはいいことよ。人間の形をした黒い雲ね」▼アンの第一稿に目を通すなりハリエットは「凡人の人生よ。重要な人物の人生じゃない。あなたを買いかぶっていたわ」「問題は私の才能ではなく、あなたを褒める人が一人もいなかったことです」。ハリエットは全国の新聞の訃報記事を集め、アンに訓戒を垂れる。「素晴らしい訃報には4つの要素が欠かせない。①故人は家族に愛されていた。②同僚から尊敬されていた。③思いがけず誰かの人生を変えた。④ワイルドカード。読者の興味をそそるフレーズ」しかしハリエットには見あたる人物・出来事がない。「一緒に答えを見つけて。やってもらうわ。後世に残る物語を作るの」アンは強引に彼女のペースに巻き込まれる。戦争などで危険にさらされた子供たちを収容、指導している地域センターに来た。ハリエットは子供たちに近づき「あなたたち危険にさらされてきたのね。でも子供はみんなそう。危険にさらされていない子供は大物になれない。私は危険を冒して大学に行った。当時教養のある女は結婚できなかった。仕事をする女も嫌われた。男より地位が高い女も。でも私はその危険を冒した。なぜ。自分の可能性を捨てなかったからよ。自分の心に聞いてみなさい。危険を承知で馬鹿なことをするか、それとも危険を承知ですごいことをするか」子供たちとアンは、いつしかハリエットの話に聞き入っている。