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特集「ベストコレクション」

2019年2月22日

特集「春の星/如月のベストコレクション」⑫ 
マイティ・ソー バトルロイヤル(下)(2017年 SFアクション映画)

監督 タイカ・ワイティティ

出演 クリス・ヘムズワース/トム・ヒドルストン/ケイト・ブランシェット

シネマ365日 No.2763

もうそろそろ… 

特集「春の星/如月のベストコレクション」⑦

 ヘラに恨み骨髄の女戦士がいます。精鋭部隊ヴァルキリーという女子族の一員で、今は「142」という味気ない数字で呼ばれている。彼女が言うには「ヘラはオーディン(国王)より強くなると王座を狙った。捕まると逃亡し王は追討のためヴァルキリー一族を送った。私だけが生き残った。私は王を信じ彼女と戦い、すべてを失った」。アスガルドの暗黒の歴史、まやかしの平和が女たちによって暴かれます。嘘と裏切りと変わり身が身上のロキはともかく、ノホホンと何も知らなかったのはソーだけ。全く惣領の甚六ね。「142」はヘラだけはぶっ殺してやると、ソーと共に故郷アスガルド奪還戦線につきます。おかしくない? ヘラに返り討ちにあったからって、それ以前に自分たちを捨て駒にした王の冷酷な指令の方が憎らしくならない?▼本作は「死の神」にせよ「復讐女子」にせよ、男ヒーローたちの晴れ舞台に比べて、暗くて陰にこもった役ばかりね。一般の会社にもよく似たことあるわよ。才能のある女子社員がバリバリ力を発揮すると必ず面白くない人たちが、男にも女にもいるのよ。彼女が目に見えないところで蓄えてきた忍耐や努力を知ろうともせず、いや知っていてさえ、ただ気にくわないだけでバッシングするクズ連中が。過去の自分に後悔を持たない人間はいないけど、娘の力量を正当に評価しなかった国王にも非はあるわ。ヘラは仕事ができるから散々コキ使って、できすぎたから、王座を狙ったからと恐れをなして使い捨てにしようとしたけど、娘のほうがしたたかだっただけでしょう。ヘラの苦労に報いていれば、もともとしっかり者なのだから「父上、どうぞ後顧の憂いなくご隠居ください。ノーテンキな弟たちはしごき直すか、それなりの立場を与え、ソーには筋肉だけでない使い道を、ロキには悪い遊びを覚えないよう教育します」ですんだのに。ともに修羅場をくぐってきた娘が恐ろしくなったオヤジなんて、退位して正解なのよ。それをなに、男兄弟を呼んで力を合わせて姉一人に対抗せよなんて、わざわざ騒動を起こせと言っているのと同じだわ。笑っちゃう▼ケイト・ブランシェットにも文句がないわけじゃないの。「ロード・オブ・ザ・リング」のヘンテコな耳が「面白い」から出演した、よしとしよう。「クリスタル・スカルの王国」の悪役スパルコが「気にいった」大いにけっこうです。「シンデレラ」のイケズママも、なるほど上出来だった。豪華なショー的作品の市場効果はもちろん成功だった。でもその間に「キャロル」で本来の、内面的な実力を見せるまでに何年たっている? 「オーシャンズ8」も正直いえばサンドラ・ブロックの映画だった。共演者では出演シーンこそ少ないものの、ヘレナ・ボナム=カーターという密度の濃い女優が食っていた。はまり込みたくなる素材や脚本とはめったに出会えるものではないかもしれない。監督との相性も大事だろう。自他共に許す快作とは簡単ではないと素人なりに察しはつく。しかしながら「くそゥ、やったね」映画ファンをうならせることのできる数少ない女優の一人が、いつまでも周縁系に収まっているのは不思議だ。本物好きは(もうそろそろ)と思っているのではないか。