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特集「ベストコレクション」

2019年2月23日

特集「春の星/如月のベストコレクション」⑬ 
ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書(上)(2018年 事実に基づく映画)

監督 スティーヴン・スピルバーグ

出演 メリル・ストリープ/トム・ハンクス/サラ・ポールソン

シネマ365日 No.2764

国民を欺き続けた彼ら

特集「春の星/如月のベストコレクション」

 1971年ニューヨーク・タイムズは、マクナマラ国防長官が作成させた「ベトナム戦争調査報告書」を手に入れ、内容の一部を報道した。マクナマラ長官は表向き政府の公表通りメディアに対応していたが、内心はベトナム戦争の実情を政府が隠蔽していることに憤りを感じ、30年に及ぶ米国の対ベトナム政策を7000ページに及ぶ報告書にまとめていた。記事によってトルーマン、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソンの公表は嘘の集積であり国民を欺き続け、勝てないとわかっていた戦争に若者を送り込んでいたことが暴露した。衝撃的な特ダネを2日連続でタイムズはトップで報道、ワシントン・ポスト紙の編集主幹ベン(トム・ハンクス)は歯軋りし、マクナマラと親しい友人である同社社主・発行人のキャサリン・グラハムに、残存する文書を手に入れたいと要請する▼キャサリンは資金源確保のため株式公開を目前にしていた。金融関係者は冷ややかだった。「女性が社主だと投資家が動かない」「創業者である彼女の父上は、会社を婿のフィルに残した。彼が亡くなってケイ(キャサリン)が社主になった。彼女に利益が出せるのか」「家族経営の新聞から脱却したいなら家族経営ではいけない」暗にキャサリンの退陣を示唆する。公開趣意書には「株式公開後一週間のうちに非常事態が予想される場合は、投資者は公開を無効にする権利を持つ」の一項があった。タイムズの一面トップ「ベトナム調査文書。米国関与拡大の30年」。文書入手に焦るベンにキャサリンは「緻密な調査報道は私も好きだけど、マクナマラは古い友人よ。彼はいま苦境に立っている。私から彼に最高機密文書を出せとは言えない。それを私情というなら、あなたこそJFKと親しかったはず。週に一度はホワイトハウスで食事、キャンプ・デービッドへも同行、大統領専用ヨットでの誕生会。あなたが遠慮なくJFKを批判していたなら、あれほどの招待はなかった」キャサリンはベンの独善的なやり方を拒否する▼ポストの編集局次長は機密文書の情報源を突き止めた。ベトナム現地を取材した記者ダニエルは「ニクソンは負けると知りながらなぜ戦争を続けるのか。戦争に負けた大統領になりたくないからだ。大統領の不名誉を避けるためだけに若者は戦場に送られたのだ」憤りに燃えたダニエルは、政府の欺瞞を暴くため、全文書をポストの局次長に託した。タイムズに先行されたとはいえ、ポストは逆転の切り札を握った。キャサリンはマクナマラを訪ねた。「なぜ私たちに嘘を。私の息子は無事帰還したけど、あなたが戦争に行かせたのと同じよ。勝てないと知りながら。政策は間違っていたことをあなたの報告書は示している」「ボビー(ロバート)やジョンソンも手強いが、ニクソンは悪質だ。取り巻きが卑劣だ。掲載すれば汚い手を使って君を破滅させる。ニクソンはクソだ。前から新聞を潰したがっている。大統領の権限を最大限に利用し新聞社を叩き潰す方法を必ず見つける」ポスト内部でもキャサリンは苦境に立った。株式公開を控え、もしタイムズのように記事差し止め命令を受けたらおそらく「非常事態」に該当するだろう。公開が無効となれば新聞社の運営は立ち行かない。