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特集「ベストコレクション」

2019年2月24日

特集「春の星/如月のベストコレクション」⑭ 
ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書(中)(2018年 事実に基づく映画)

監督 スティーヴン・スピルバーグ

出演 メリル・ストリープ/トム・ハンクス/サラ・ポールソン

シネマ365日 No.2765

このセリフ、この女優 

特集「春の星/如月のベストコレクション」

 強引に記事掲載を主張するベンは役員や弁護士の進言を受け入れない。「子会社のテレビの運営が危うくなる? テレビなど知るか!」「新聞より稼いでいる。テレビを失えば社は売却だ。政府が裁判に勝てばポストは消滅する」「掲載をやめたらどう思われる・我々も憲法も負け、ニクソンが勝つ」。キャサリンは最も信頼するポストの会長フリッツに意見を求めた。「私なら掲載しない」キャサリンはフッと息を止めた。そして何事もないように「やりましょう。フリッツ。やらないと。やるのよ。掲載しましょう」。方針は決まった。編集局の女子記者は「すごい」。役員は黙っていない。「キャサリン、君は重大な過ちを犯している。多くの機関投資家は手を引くだろう。輪転が回るギリギリの時刻までまだ2時間ある」。キャサリンは頑として退ける。ベンは自宅で妻に得意顔で記事掲載を告げた。「まあ。キャサリン。勇気があるわ」「彼女だけじゃないぞ。勇気があるのは」。ベンは言外に自分の力であるとほのめかす。妻は「あら?」。スティーブン・スピルバーグ監督の最高知識人としての知性と良識は、このシーン、この女優、このセリフに光っています。妻は問う。「あなたは何を失うの?」夫は虚を突かれ「仕事や評判さ」「やめてよ」妻は失笑した。「あなたはこの事件で一躍時の人となり次の仕事はすぐ見つかる。でもケイは想像もできない立場にいる。しかも役員や主だった人たちからふさわしくないと思われている。何度となく能力がないと言われ、意見は軽んじられる。まともに相手にされず彼らには存在しないも同じ。そんな日々が続けば意見も言えなくなる。この決断を下すのは彼女の財産や人生そのものの新聞社を賭けることよ。とても勇敢だと思う」。妻トニーにサラ・ポールソン。「キャロル」の好演以後、いい作品が続いています。目立たない脇役ですが安定した表現力で任せて安心の信頼を得ました。「アメリカン・ホラー・ストーリー」のいかがわしい占い師の怪演も好評で同シリーズはレギュラー出演。最近作「オーシャンズ8」でも、ケイト・ブランシェットが一言指示を出すと、滑るように持ち場につき、万事そつなく遂行するサブの要。本作では数少ないキャサリンの支持者として、男たちからは理解されること少なかった女性オーナーの、孤絶していた心の中を明快に洗い出し、おそらく多くの女性たちの共感を喚起したであろう、サイコーの役得を監督は与えました。