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特集「ベストコレクション」

2019年2月28日

特集「春の星/如月のベストコレクション」⑱ 
男と女、モントーク岬で(2018年 恋愛映画)

監督 フォルカー・シュレンドルフ

出演 ニーナ・ホス/ステラン・スカルスガルド

シネマ365日 No.2769

彼と一緒に私も死んだ… 

特集「春の星/如月のベストコレクション」

 この映画、感動せんといかんのでしょうか。別れた恋人の再会の話です。作家のマックス(ステラン・スカルスガルド)は新作の朗読会でニューヨークに来て、昔の恋人レベッカ(ニーナ・ホス)を訪ねる。彼女は弁護士だ。強引に事務所に面会に来たマックスを素気なく扱うが、「土曜日ロングアイランドの先端まで行くから私の家を11時に出て夕方遅く戻る。一緒に来るなら返信不要」と連絡が入る。男は服を新調し、秘書に勧められたスカーフまでしていく。彼には事実婚妻クララがいる。土曜日に友人の家でパーティなのに、来てくれないと困ると訴えるが、間に合うように帰ると男は約束する。なぜレベッカと会うのかクララが訊くと「大昔の恋人でも別れたままでいたくない」のですって▼女の車で北端の岬に。ここが「地の果て」を意味するモントーク岬。小さな灯台が岬の突端にあります。恋愛中の彼らはここへ来た。美しい海岸の、しかも以前泊まった同じホテルに投宿。女はモントークに家を買うつもりで物件を見に来たのだが、業者は「明日鍵を開ける」ことになり「私は一泊するわ」もちろん「僕も」「今夜予定があるのでしょ」「なんとかするよ」。クララとの約束はあっさり反故。このあたりでうんざりする。マックスは隣にいい奥さんがいるのに、昔の恋人に再会した途端「変えられないか、君の人生を」…なんで女が変えなくちゃいけないのよ。スカルスガルドはご存知「北欧演劇界最強の一族」。でも息子達ならともかく、パパのベッドシーンはイタかったわ。レベッカの告白「あなたと別れてから出会った人がいる。彼も弁護士よ。一緒に生きていこうと思った。でも彼は心臓発作で死んだ。路上で。話すのも苦しい。こう言う穏やかな場所にいると彼と一緒のような気がする」。マックスは置いてきぼり。「彼が死んだ後仕事に戻った。一年間働き詰めでセラピーを受け、精神科の催眠療法を受けた。死んだ彼の心の中に入った。私の一部が彼に連れて行かれたよう。彼と一緒に私も死んだの」なんと! 『雨月物語』の世界だったのかい▼一泊のはずが二泊になり女はニューヨークの自宅に戻る。ヨレヨレになったマックスはクララの家に。下町の、店の前から匂いがプンプンしそうなケバブ屋の二階の貧しい部屋だ。彼らは事実婚かつ別居婚で、男は妻の家に来たことがなかった。「君はここに住んでいるのか。君の匂いはここの匂いか」失礼な男ね。でもクララは言うのです。「あなたを許すのは私だけ。あなたは変わらないけど、私はそばにいる」うう〜む。このオッサンがなあ…人の恋路は自由であるべしとはいえ。ニーナ・ホスはドイツ映画演劇界でバリバリの女優。「素粒子」「東ベルリンから来た女」「あの日のように抱きしめて」など粒よりの映画で力を発揮しています。本作もよくないとは言わないけど、なんだかニーナ・ホスらしくなかったわ。もっとも「今も死んだ男と一緒に生きている」のが、男を体良く去らせるための、レベッカの作り話だとすれば「あの日のように…」と同じ、土俵際のうっちゃり見事に決まりました〜でホスに似合ったのだけど。モントーク海岸の映像があまりきれいなので「これなら感動してもいいよね、どう」なんて無駄に自問自答させる罪な映画です。監督の狙い、まさかそれだったのではないでしょうね。