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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2019年3月5日

特集「映画に見るゲイ11」279 
愛についてのキンゼイ・レポート(上)(2005年 伝記映画)

監督 ビル・コンドン

出演 リーアム・ニーソン/ローラ・レニー

シネマ365日 No.2774

いつか変わる日が来る 

特集「映画に見るゲイ11」

 キンゼイ教授(リーアム・ニーソン)は、性に悩む学生のために「結婚講座」を開設した。「生物学的に健康な成長を社会が認めないため、正しい性知識が身につかず、結婚した時に苦労する。12歳の子供にもわかる常識を教えることにした」からだ。彼は妻に言った。「学生たちの馬鹿げた考えはこの本が原因だよ。『理想の結婚その生理学と技法』によれば口腔性交は刺激的だが絶頂まで達するのは有害である。性的興奮のため指を使うべからず。女性に触れるのは愛の指、つまり男性性器のみである…バカな。モラルと事実をすり替えている」。講座には学生たちが詰めかけた。「しすぎはガンの原因ですか」「ハイヒールは不妊症のもと?」「僕の性器の形が変です」「同性愛は異常ですか」「セックスしないと吃音になる?」「彼が肛門に触るのは異常ですか」▼教授「みな素晴らしい質問ばかりだ。答えはたった一つ。わからない。人々の性行動の実態が不明なのでそれが異常か正常かわからない。だから大半の人が罪悪感を抱く。私の性行動は普通か? そこで性行動の実態を調べることにした。調査結果に驚くぞ。理想と現実の間に恐るべき隔たりがある」。教授はシカゴで同性愛者の性行動の聞き取り調査を行った。「インディアナ大学のキンゼイです。お話を伺えませんか」。顔を背けていた男たちのうち一人が真面目に向き合った。「トミーと干し草の上でじゃれあっていた。パパが来て納屋に閉じ込められ、兄弟も来て体に烙印された(傷を見せる)。そのあと肋骨を2本と鎖骨を折られた。トミーはもっとひどかった。13歳の時だ。その後ずっと自活した。ゲイであることを恥ずかしいとは思わない。ただ世間の好奇の目が…」教授はやさしくいう「今はまだ同性愛は認められていないが、いつか変わる日が来るよ」青年は辛そうだった。同性愛についてキンゼイはこう述べる。「同性愛行動は哺乳類での間でよく見られる。不道徳だと世間は避難するが、異常と呼ぶのは馬鹿げている。創世記や世論によれば、性の方程式は一つしかない。結婚イコール子供をつくる。しかし男子学生の回答を見ると社会的制約より生物学的欲求に従っている。地球上の生物で人も昆虫も動物も、ひとつとして同じ生き物ははない。性欲の強い男性もいれば淡白な男性もいる。みなちがうからだ。なのに、同じになりたがる。人間の基本的な側面を無視するほうがラクだからだ。人と同じ仲間になりたい一心で自らの本能を裏切っている」。来るべきダイバーシティ(多様性社会)の先取りであり、今こそ通用する識見と思える。