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特集「ベストコレクション」

2019年4月1日

特集「桜貝見つけた/4月のベストコレクション」① 
モリーズ・ゲーム(上)(2018年 伝記映画)

監督 アーロン・ソーキン

出演 ジェシカ・チャスティン/イドリス・エルバ/ケビン・コスナー

シネマ365日 No.2801

金ピカの虚無 

特集「桜貝見つけた/4月のベストコレクション」

モリー・ブルームとはこういう女性です。「スポーツで最悪な瞬間は逆転負け・連敗・W杯予選敗退・ブラジル人はアルゼンチン人に負けること・あらゆる競技で五輪の4位になること。この物語は真実だが、私以外は名前も身元も変えてある。私はモリー・ブルーム。女子モーグル北米3位。コロラド州育ち。コロラド大で経済と政治の学士号。首席で卒業。ロースクール共通入試はハーバードが169点。私は173点。父がコーチした。12歳の時背中に違和感を覚え父に言ったら耐えろと。10分後救急車に乗っていた。急性脊椎側湾症だった。7時間の手術。医師はアスリートを断念するべきところ、1年半後にはモーグルに復帰。20歳まで全米スキーチームにいた。2002年ソルトレーク冬季五輪の予選最終日。標高2470メートルのディアバレー。てっぺんは零下19度。最高のランを見せる」ところが着地に失敗、金具で止めていた背骨で着地した。モリーはアスリートを断念。ロースクールを前に一年間の休暇を取りロスへ。自分をこう思い描く。私はすでにキャリアを築いて引退。暖かい土地で若さを楽しむ。しかし彼女は12年後の早朝5時、FBIが踏み込みモリーを違法賭博運営で逮捕した▼ここまでですでに「はてな」と思う。大学院を出たら法曹・金融界、どこでも進出できる能力のあるモリーが、なぜ違法のポーカーゲームを主催したのか。答えは最後まで待たねばならないが、そこに至るまでのポーカーにアディクトした超セレブたちの、駆け引き、緊迫、破滅、頽廃がみっちり描きこまれる。モリーはバーでアルバイト中知り合った不動産業者ディーンの会社で事務員をやるうち、彼が参加費1万ドルのポーカーゲームを開いており、助手を務めることになった。これが彼女の運命を変えた。「私の前にいるのはオスカー俳優、監督、ボクサー、ラッパー、大物事業家、彼らは常にオールイン(全額勝負)。持ち前の頭のよさでポーカーの勘所をつかんだモリーは、セレブたちに気にいられ、桁違いのチップを受ける。気に入らないディーンは「チップだけで充分だろ。給料はやらない」むちゃくちゃなことを言い出し、バカのクズ男を相手にしておれないと、モリーは独立する。超セレブをおもてなしするのだ。会場はフォーシーズンズのスイート。一晩5200ドル。シャッフルマスター設置に1万7000ドル。ミスター・チャウの料理をサイドテーブルに。マッカラン18年。ベルヴェデール1942。レミ・マルタンシャトーブラック。高級品ばかりの葉巻。プロのスタイリストが「私をセクシーにする」。有り金叩いて準備し一本の電話を待った。「今夜から会場はフォーシーズンズ1401合室に変更」のメールをロイヤルカスタマに送信。彼らは全員参加した。つまりディーンの客をごっそりいただきだ。モリーは言う「ゲームには特殊なエコシステム(収益構造)がある。いくら財力があってもここでは勝負は買えない。私や女性も買えない。席も買えない。彼らはギャンブル中毒なのだ」。映画スターの「X」が進言した。「掛け金を5倍に上げろ」「ケガする人、殺される人、脱落する人が出る。続けていけない」「新しいカモを探せ」Xの欲望は「他人を破滅させること」彼のポーカーは罠だった。シリリングな展開です。しかしこの疑問がついてまわる。モリーの目的は何か。金か。充分すぎるほどある。名誉か。著書を出版しすでに有名人だ。男? 100%ゼロ。彼女が金ピカの虚無の中を進んでいくような気がしてきます。