女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「B級映画に愛をこめて」

2019年4月14日

特集「B級映画に愛を込めて11」④ 
スノーマン 雪闇の殺人鬼 (2017年 劇場未公開)

監督 トーマス・アルフレッドソン

出演 マイケル・ファスベンダー/レベッカ・ファーガソン/シャルロット・ゲンズブール/クロエ・セヴィニー

シネマ365日 No.2814

映画のケミストリー 

特集「B級映画に愛を込めて11」

 時々こういう現象が起こるのが、映画というものの面白さの一つだと思えばいいのでしょうか。まとまりが悪くて、全体にチグハグなのだけど、なんでそうなるのかどうもよくわからない。出演者の、物みな、なぎ倒すような顔ぶれを見よ。アリシア・ヴィキャンデルのハートを射止めたマイケル・ファスペンダー、トム・クルーズが「M:I」シリーズに二度の要請をしたレベッカ・ファーガソン、常に撮る作品が物議をかもすラース・フォン・トリアー監督のもとで、エロスを旅する「ニンフォマニアック」のヒロイン、シャルロット・ゲンズブール。「私は色情狂なの。女性器が好きなの!」なんてセリフ、滅多に言える女優はいませんのでございますよ。それにクロエ・セヴィニーは何の用があってスクリーンに登場したのだろう。J.K.シモンズはまだいい、あの頭だからすぐわかった。でもヴァル・キルマーに至っては気もつかなかった。カリスマティックな俳優を揃えながらなんで…一言で言えばケミストリーがないのよ。化学変化が、俳優たちの息遣いが伝わってこないの▼滑り出しはミステリアスだった。あたり一面雪景色。荒涼とした風景は「これこそ北欧ミステリー伝統のロケーション」と一人喜んでしまった。問題はその後。すご腕刑事がマイケル・ファスペンダーだ。相棒になる女性刑事がレベッカ・ファーガソン。可愛らしく前髪を垂らした、ギャルソンみたいな雰囲気がなかなかよろしかった。もともと彼女、色っぽいキャラではございませんしね。いちばんガクッときたのはシャルロット・ゲンズブールだ。マイケル・ファスペンダーの別れた妻なのだけど、妙に物分かりのいい現在の旦那と平和に暮らしている。それはいい。しかしかくも残酷な連続殺人事件が頻発する街で、子供のいる母親としてはもう少し不安におののくのが普通じゃなかろうか。まあいい、伏線の一つだと思おう。最後に現れた犯人に、ああ、やっぱりあの時あやしいやつだった、と思うだろうから(思わんかも!)▼いちばん腹が立ったのは、レベッカが途中で殺されてしまったことだ。あんまり見せ場はなかったから、早いとこ殺されたほうがよかったかもしれないが、彼女のキャリアの役に立ったとは思えん。クロエ・セヴィニーがチョロッと顔を出すのはストーリーを混乱させるためなのか。使い方がよくわからんわ。マイケル・ファスペンダー。確かに「プロメテウス」にせよ「エイリアン コヴェナント」にせよ明るい役ではなかったですよ。「危険なメソッド」みたいに、フロイド博士に対する天然のユング博士みたいな役もありましたけどね。でも今回は見てくれまで悲惨。無精髭によれよれのコート、重たげに身を運ぶ刑事なんて。コロンボのように胸のすくひらめきもなく、なんで彼に犯人逮捕ができたのかわからない。監督も俳優陣も最善を尽くしたにちがいない。でもこういうこともあるのだ。悲しかったけれど、次のチャンスに期待するよ。