女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「B級映画に愛をこめて」

2019年4月18日

特集「B級映画に愛を込めて11」⑧ 
ヘザース ベロニカの熱い日(1990年 青春映画)

監督 マイケル・レーマン

出演 ウィノナ・ライダー/クリスチャン・スレーター

シネマ365日 No.2818

毒吐き学園もの 

特集「B級映画に愛を込めて11」

 アホくさい青春映画がカルトと呼ばれる所以は、ひとえにクリスチャン・スレーターの鋭角のキャラだろう。彼は公開時20歳、ウィノナ・ライダーは18歳という、青春の盛りであった…となんとなく詠嘆調になるのは、揃ってこの二人、本作以後私生活のゴタゴタで昇るべきハシゴを踏み外してばかりいるから。それでもクリスチャンは最近作「天才作家の妻   40年目の真実」で、グレン・クローズ、ジョナサン・プライスという名優と渡り合ったし、ウィノナ・ライダーも出演本数こそ少ないが、途切れ目なく名前を出している。二人とも今が仕事のし盛りである40代だ。ガッツリ本気を出すべきだ▼ベロニカ(ウィノナ・ライダー)は、スクールカーストのトップにいる、ヘザーという女子3人組のパシリにこき使われ高校生活にうんざり、そのくせ内面は(あいつらバカ女にひとあわ吹かせてやる)ドス黒い憎しみがムラムラの時に、折しも転校生のJ.Jと出会った。彼も男子たちから脅しにあったものの、拳銃をぶっ放し度肝を抜く。ただし空砲だった。パーティのドンテャン騒ぎの翌日、ベロニカとJ.Jは二日酔いのヘザー・チャンドラーを自宅に訪問。トイレ用洗剤を飲ませ死なせてしまう。うろたえるベロニカに「自殺なら罪に問われない。君は筆跡を真似る名人だから遺書を書けよ」とJ.Jがそそのかし「皆さんは私が美人だから人生を楽しんでいると思っていたでしょう。私は本当の私を理解されないまま死ぬわ」と偽遺書を残す。二人目のヘザーにベロニカはデートで輪姦されたとデマを流され「殺してやりたい」と殺意を燃やす。早速J.Jはベロニカとデートした男子生徒二人が、ゲイの関係で「禁断の愛を隠すため死を選ぶ決心をした」とベロニカに偽遺書を書かせ、実弾で殺してしまう▼この二人、後の「悪の祭典」に通じる、学園の連続殺人犯であり、実に胸の悪くなる映画なのです。ベロニカはだんだん、J.Jが強くなり別れようとしますが「戻ってくるさ」と彼はうそぶく。学校の中でいつも長めの黒いコートを着ている彼はまるで「地獄の天使」。危険の匂いを放ちます。J.Jの最終計画は全校生徒が集まったイベントの時に地下にしかけた爆弾を爆発させ一挙に皆殺しにするというトンデモ計画。ベロニカは爆破を防ごうとJ.Jめがけて発砲する。体育館の外で向かい合う。J.Jは「爆破なんかしないよ、そんなことをしたら、君を巻き添えにする」とコートの前を広げると胴体にダイナマイトを巻きつけていた。彼は自爆。ベロニカは噴煙とススで顔は真っ黒。髪はザンバラ、目を据え(チェッ)とばかりタバコをくわえ火をつける。冴えない小悪党だったベロニカが、一大変身した。彼女は新生「ヘザー」のトップとなって学園に君臨し、正義と秩序を取り戻す…らしい▼J.Jは建築業社長の息子、セレブだが子供の時母親と別れ、父は息子を顧みず、寂しく育った。「全員殺すのは愛されたいからだ。注目されたいからだ。いろんなタイプの人間が一緒に暮らせるのは天国だけだ。人々はこの高校の廃墟を見ていうさ。高校の自滅は社会のせいだと。高校自体が歪んだ社会だったんだ」。人のせいにするのはやめなよ、J.Jと、誰も言ってやらなかったのが彼の寂しさを浮き上がらせている。知的女子にはとても見えなかったベロニカが、J.Jとの決別で本来の自分の道を取り戻したかに見えるエンドがせめてもの救い。やれ青春だ、やれ学園だと、ベトベトになっていないのは、やはりマイケル・レーマンという毒吐き監督の腕ね。