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特集「最高のビッチ」

2019年6月6日

特集「最高のビッチ8」⑥ シモーヌ・シニョレ4 
悪魔のくちづけ(1969年 サスペンス映画)

監督 カーティス・ハリントン

出演 シモーヌ・シニョレ/ジェームズ・カーン/キャサリン・ロス

シネマ365日 No.2867

天はシモーヌの味方 

特集「最高のビッチ8」

同じシモーヌ・シニョレでも、ヨーロッパ・テイスト100%の「デデという娼婦」で見せた哀切さと本作のビッチは別人。ハリウッドが作るとなんてこう、わかりやすい映画になるのでしょう。ほめています。いい映画ですよ。シニョレが「年上の女」でアカデミー主演女優賞をとってから、ハリウッドに招かれて出演した作品。流暢な英語を吹き替えなしでしゃべります。彼女、高校の英語の先生だったからね。共演のジャームズ・カーンはまだ「ゴッドファーザー」以前、キャサリン・ロスは「卒業」以前でした。面白い取り合わせです▼原題は「ゲーム」。セレブの暇人が退屈しのぎに金のかかったゲームをする。誰がもっともらしく犯罪を犯すかというトリックの掛け合いです。仮面をつけたり変装したり、カード占いをしたり、家具調度もとびきり豪勢な、ろうそくを灯した部屋で興じる。ヒロイン、ジェニファー(キャサリン・ロス)は莫大な遺産を相続し、婿のポールは遊んで暮らせる身分。妻は美しくやさしく、お金はありあまり使い切れない。こうなるとろくなことを考えないのが人間で、ポールとジェニファーは精神世界のドツボに転落一歩手前です。そこへ現れるのがシニョレ姉御だから、もう犯罪以外の何物も生じない。ある日チャイムがピンポン。ジェニファーが出ると見たこともない中年の、どっしりした女性がクソまじめな表情で自分を見つめている。リザ(シモーヌ・シニョレ)だ。聞けばジェニファーの高校の同級生の紹介だとか。ジェニファーはお嬢さんで人を疑うことを知らない。喜んで招じ入れお茶など出して話していると、化粧品のセールスだとわかる。ジェニファーは嫌がるどころか「全部いただくわ」おいおい▼リザは急に気分が悪くなる。ジェニファーは医者を呼び容態を尋ねると、極度の疲労で休養が必要だと。病気も逃げそうなシモーヌの体格で(それはないだろ)と思いますが(笑)。話し相手のいないジェニファーにとってシモーヌは心強い。夫のポールも「君がいいなら」あっさり承知してくれた。やることといえば「引っ掛け」のゲームだ。食料品配達のノーマンを仲間に夫を引っ掛け、夫は仕返しのゲームでノーマンを撃つと実弾が発射、彼は死んでしまった。リザは出かけていた。動転するジェニファー。リザが帰らないうちに死体を処理せねば。死体を置いたエレベーターの中から血がしたたりおちて、帰宅したリザの視界に入りそうになったり、ならなかったり。ポールは石膏で固めてポーズをとらせた死体を玄関脇に置く。飼い猫が来て石膏の匂いを嗅ぐ、リザが「この場所、霊を強く感じるわ。霊よ。さすらいの旅人」。だんだんジェニファーは参ってくる▼ある日突然リザは「私が紛れ込んで二人の穏やかな生活を壊してしまった」しおらしく言い、出て行く。失意のジェニファーにのしかかるように亡霊が現れる。死んだノーマンだ。夢中で拳銃を撃つとノーマンは血を流して死んだ。亡霊が赤い血を出すか。待ち構えていたように部屋に入ってきたのはポール。落ち着いて警察に電話し「殺人を目撃しました。犯人は妻です」。ジェニファーを精神病院に入れた後、ポールとリザが喋っている。「1年前のバーモント州。ケーブルカーに乗り合わせた二人が意気投合しカモを見つけて計画を練った。うまくいった。君の取り分は15%」リザは微笑し「悲しみに打ちひしがれた夫は命を絶つのよ」と、ポールの頭をズドン。死体に拳銃を握らせ、札束ぎっしりのトランクを持って悠々と出て行く。リザのまとう白いファー。シモーヌの後ろ姿はシロクマのごとく威厳があります。エンドマークに出るカードは「ジャスティス」(正義)とは、どこまで天はビッチに、いやシモーヌに味方するのか。それとも招いた以上無礼はせぬ、というハリウッド的オチか。三人の俳優がそろった段階でほぼ筋が読めるのが難だけど。キャサリン・ロスは、踏んだり蹴ったりで、ちょっと気の毒。でもステップ・ボードになったと思えば損はなかったはず。サクサク見られて面白かったです。