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特集「頑張るドイツ映画と女性監督」

2019年6月21日

特集「頑張るドイツ映画と女性監督3」① 
スキャンダラス・クライム(上)(1996年 事実に基づく映画)

監督 ベルント・アイヒンガー

出演 ニーナ・ホス/マチュー・カリエール

シネマ365日 No.2882

世間の理想がキライなの 

特集「頑張るドイツ映画と女性監督3」

東ベルリンから来た女」や「あの日のように抱きしめて」で、ヨーロッパを代表する女優の一人となったニーナ・ホスのデビュー作です。パッと見ではニーナとはわからなかった幼な顔です。21歳でした。彼女が実在のコールガール、ローズマリーを演じます。時代は1952年、フランクフルト。第二次世界大戦の敗戦後、復興に向けて経済が始動しているドイツが舞台です。刑務所を出た問題児ローズマリー。彼女を引き受けた里親の両親はいい人たちで、真面目な働き者です。母親は「きちんと働いていい人を見つけておくれ」と懇願する。ローズマリーは母親に冷たく言い返す。「これが人生? 汚い狭い部屋で毎日人にこき使われ、うだつのあがらない生活が」「何さまだ。お前は。女王様のつもりか!」父親は頭にきて怒鳴りつける▼ローズマリーは「ふん」とばかり家を出てバー勤め。ハルトークという実業家に目をつけ、わざと車にぶつかり、病院へ連れて行くというハルトークに「見て。いいものがあるの」すっぱり車の中で服を脱ぐ。「結婚して子供をつくれという、世間の理想が嫌いなの。私の欲しいものを与えてくれる人が好き」。言いたいことをいうローズマリーに男はとりこになる。しかしハルトークは貴族の出身、すでに婚約者がいる。「どんな人? 負けないわ。どこに惹かれた? ベッドではどう? おとなしい? 激しい?」目をギラギラさせてつめよる。ハルトークの母親代わりである姉は、人を人と思わないローズマリーを、見ただけで気に入らない。娼婦を家に入れるなど論外、パーティに連れてくるなどもってのほか、追い出しなさいと引導を渡す。ところがローズマリーは、ドイツの実業家たちが競って提携を狙うフランスの経営者、フリベール(マチュー・カリエール)に近づく▼フリベールはしたたかな経営者だ。「君の美しさは認めるが洗練されていない。ハルトークは結婚が決まった。君との関係は終わりだよ。君が上流社会に入るのは無理だ。だがビジネスならできる。ドイツには、戦後わずか10年で事業を復興させた奇跡の男たちがいる。彼らは自分たちが成り上がり者だから、服も香水もマナーも、一流を身につけた洗練された女性を求めている。作法を学べ。君が寝る相手が来たら必ず名前を言わせ、このテープを回して録音してくれ。君の客のリストだ」。ベッドで情報を入手、ビジネスを操ろうというわけ。フリベールは相手との交渉の席で密かに録音したテープがあることをバラし、有利な条件をドイツ側から引き出す。ローズマリーが相手にした男とこんなシーンがある。「値段は?」「1000マルク」「フランスの相場より高い」「じゃ2000マルク」「?」ローズマリーがコートの前を広げると全裸。男は度肝を抜かれる。同じシーンを1975年「赤いブーツの女」でカトリーヌ・ドヌーブがやっています。カフェにいる男に「100フランちょうだい。いいもの見せてあげる」そういってパッと前を開けると何も着ていない。男たちは、今まで見たこともない大胆な女、ローズマリーに毒気を抜かれ、男たちが集まるところ、会議よりも視察よりもヒソヒソと、ローズマリーの噂で持ちきり…。