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特集「頑張るドイツ映画と女性監督」

2019年6月23日

特集「頑張るドイツ映画と女性監督3」③ 
Who Am I ピエロがお前を嘲笑う(上)(2015年 犯罪映画)

監督 バラン・ボー・オダー

出演 トム・シリング/トリーヌ・ディルホルム

シネマ365日 No.2884

闇世界のヒーロー 

特集「頑張るドイツ映画と女性監督3」

マインドファック・ムービーです。ここ10年で、ドイツで最もヒットした映画と言われます。ドンデン返しに次ぐドンデン返しはお見事。ただね、高評価を得ている割に、ちょっと引っかかったこの物足りなさはなんだろう。14歳でコンピューターにはまった、主人公ベンヤミン(トム・シリング)はそれ以後、張り巡らされたネットの闇にのめり込む。不幸な生い立ちだ。父親はフランスへ逃亡、母親は8歳の時自殺。祖母は認知症で施設に収容した。ピザの配達をしている時、中学の時に憧れた女の子マリと再会し、彼女が試験の解答を欲しがっているのを知って大学に侵入したが、あっけなく警備員に見つかり警察へ。50時間の奉仕活動をすることに。活動中ネットオタクのマックス、パウル、シュテファンに知り合う。3人はハッカー集団となり、グループ名を「クレイ」と決め、ハッカー仲間に少しは知られる存在となった▼彼らが憧れるのはダークネットの帝王、天才MRXMRXから軽くあしらわれた「クレイ」は、最大の難関FBIをハッキングし鼻を明かしてやろうとし、成功するがベンヤミンは出来心でFBIの極秘データを持ち出しMRXに渡してしまう。それが原因でユーロポール(欧州刑事警察機構)が追っているロシアのハッカー集団フレンズの一員が殺され、容疑がクレイにかかる。慌てたベンヤミンはマックスたちに事実を打ち明け、MRXの正体を暴くため接触を図る。彼の条件はユーロポールに「トロイの木馬」(コンピューター・ウィルス)を仕込むこと。ユーロポールは難攻不落。相手の正体を暴くどころか逆にロシアマフィアから狙われる羽目になる。アジトに戻るとマックス、シュテファン、パウルは殺害されていた。身の危険を感じたベンヤミンは警察に出頭し、ユーロポールの元責任者ハンネ(トリーヌ・ディルホルム)を指名し、彼女にならすべて話す、代わりに「フレンズ」から守ってくれと証人保護を要求します▼筋書きはテキパキ進み、ベンヤミンたちの興奮やピエロのマスクのインパクトや、彼らを小馬鹿にする、帝王MRXの存在が本作の闇を深めるエンジンとなります。ベンヤミンは祖母を介護していた気のやさしい、おとなしい少年です。生身の人間と対面で会話するのが苦手で、コミュニケーションと人間関係がうまく結べない。そんな彼がネット世界で才能を開花させ、自分はスーパーヒーローだと感じた。でもその才能は犯罪にリンクしてしまうのだから、そもそも日の当たる場所では生きづらい隠花植物と同じ、タフでもなければストロングでもない、こういう弱々しいキャラをスーパーヒーローと呼べるのか…という自己分析はしなかったのね。

 

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