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特集「頑張るドイツ映画と女性監督」

2019年6月25日

特集「頑張るドイツ映画と女性監督3」⑤ 
ベルリン・シンドローム(2018年 サイコ・サスペンス映画)

監督 ケイト・ショートランド

出演 テリーサ・パーマー/マックス・リーメルト

シネマ365日 No.2886

微笑んでいる場合か

特集「頑張るドイツ映画と女性監督3」

厳密に言うとオーストラリア映画ですが、ケイト・ショートランド監督には「さよなら、アドルフ」があり、タイトルがズバリ「ベルリン・シンドローム」だし、ドイツ人の俳優も主演し、劇中はドイツ語のセリフで、とてもドイツに馴染んだ作品です。ヒロイン、クレア(テリーサ・パーマー)はベルリンに来たバック・パッカーで名所旧蹟の建築をカメラに収めている。路上で英語の堪能なアンディ(マックス・リーメルト)に出会う。さりげなくその日は別れたものの、翌日彼の姿を探し、古書店で出会う。アンディが見ていたのはグスタフ・クリムトの画集だ。線描だけの堪能的なクロッキーを二人で見ているうちにその気になり、アンディの部屋に誘われるまま一夜を共にする。彼のアパートというのが廃屋のような汚い建物で、壁も廊下も汚れっぱなし。住人がいるのかいないのか、話し声もしない。初めての旅で初対面の男とよくこんな気持ちの悪い場所に来るな、と思うが、やはり嫌な予感は的中▼アンディは学校で英語を教えているが裏の顔は変態の殺人狂で、女の子に話しかけては部屋に監禁し、殺していた。アンディは父親に彼女ができたと話したところ「また旅行者なのか」と父親が言うところをみると、何人もの女性を同じ手口で誘拐していたことは明らか。クレアが疑いだすと暴力を振るい、彼女を助けにきたおじさんまで火かき棒で頭を叩き割る。こんなことをしてしまったのは「お前のせいだ」と罪をなすりつけ、死体処理を手伝わせる。クレアの失踪が新聞に載り「旅行者行方不明」の記事を読んでそろそろ殺さなければ、と森に連れ出すが一緒にいるところを散歩者に目撃され未遂に。クレアも脱出の努力はするのだが、父親が死んだと泣くアンディに同情するストックホルム症候群で、監禁生活に順応する。アンディが採点する生徒のノートに、彼が撮ったクレアのサド写真を忍ばせ、アンディの所業を警察に伝えようとするが、慌てた女生徒は肝心の写真を落とす。風のようにアパートに駆け戻ったアンディは今度こそ仕留めようと潜んでいるクレアを探す…広くもないアパートで、女一人を探し出すのに時間かけすぎ▼「父が死んだ」と言って泣くアンディを抱き寄せるヒロインに至っては何をかいわんや。そうそうドライバーを男の手の甲に突き立てて反撃するのですが、「アトミック・ブロンド」なら首筋にグサッでしょう。本気で逃げる気、あんの。感動するのに無理がありますが、ホラーの手口というか、サスペンスの拵え方というか、なんでもないことを怖そうに映し出す雰囲気というか(一番効果があったのは暗くて汚い、ゴッサムの小型みたいな建物)それが中盤以後急テンポで展開し前半のまだるっこさを挽回しています。アンディの隙を見てクレアはドアの外に、外から鍵をかけアンディを監禁する。無事脱出、タクシーに乗りやれやれとベルリンの街を眺め微笑する。キミほほ笑んでいる場合か。警察に駆け込んで監禁男を逮捕させんといかんだろ。監督の感性にはいいものがあると思うけど、悠長な主人公にはつきあっておれん。おやすみ。

 

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