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特集「異形の美術館」

2019年7月5日

特集「異形の美術館」⑤
フランケンシュタインの復讐(1958年 ホラー映画)

監督 テレンス・フィッシャー

出演 ピーター・カッシング/フランシス・マシューズ

シネマ365日 No.2896

マイスター・オブ・ホラー 

異形の美術館

第一作「フランケンシュタインの逆襲」大ヒットの後を受けた二作目。作り慣れたせいか手際よくストーリーが進む。フランケンシュタイン博士は作り上げた怪物の責任を負わされ死罪になるはずが、執行人を抱き込んで別人をギロチンに送り、3年後カールスブリュックでヴィクトール・シュタインとして開業し当地一番の人気医師として病院は大繁盛。医師協議会の入会勧誘もあっさり断る。理由は自分が開業しようとした時協議会は邪魔をしたからだ…シュタイン博士はかなり根に持つ人みたいである。そこへ若い医師ハンス(フランシス・マシューズ)が弟子入りを希望して来た。「世界最高の医師から知識を学びたい、つまりあなたから」という青年が気にいって弟子入りを許可した▼シュタインがハンスに真実を打ち明ける。「フランケンシュタインは死罪になった。モンスターを作ったからだ。私は完璧に作り上げた。あの脳に損傷さえなければ私は天才として賞賛を浴びていたのに、ギロチン刑だ。私は復讐を誓った。天才の私を凡人が断罪するなど傲慢にも程がある」。ともあれシュタインはハンスを鍵のかかった別室に呼び、保存処理のほどこした美しい肉体を見せる。「あとは脳を入れるだけだ」「誰かを殺して?」「まさか」志願者は助手のカールだった。半身が不自由な自分の肉体を嫌い別の体になりたかった。カールの脳が青年の頭蓋骨に入った。術後の様子を見るハンスにカールが訊く。「私はこの先どうなる」「世界中の医師が君に会いに来る。シュタイン博士が昔の君の体と今の君を比較して講演する」「また見世物に?」カールの顔が歪む。多分サーカスかどこかの「エレファントマン」だったのだろう。カールは鏡で美丈夫となった自分の体を見直し、元の醜い体を炉にくべて燃やし、脱走する。たまたま部屋に入ってきて、彼を殴った侮辱した管理人は殺した▼安定していない体で受けた打撲はメカニズムを狂わせた。凶暴に、残酷になったカールはパーティにいたシュタイン博士に会いに行き「助けてくれ、フランケンシュタイン」と名を呼ぶ。正体がばれたシュタインはリンチで命を落とす。いまわのきわにハンスを呼び「わかっているな」と念をおす。研究室には一体の新しい代替ボディが用意されていた。ハンスはシュタインの脳をその肉体に移し替える…ここはロンドンのハーレー街。シュタインはフランク博士と名を変え、助手のハンスとともに病院を開設した。「フランク博士、次の患者が」。博士は鼻眼鏡をかけ直し、エレガントに応対する▼自分の天才を恃むあまり、フランケンシュタインはますます神ならぬ身の知るよしもない禁忌の領域に踏み込んでいきます。カールが一度は綺麗な肉体を得ながら誤作動のため元の不自由な体に戻る、それだけでなく顔まで歪んで醜くなる。「助けてくれ、フランケンシュタイン」とすがるところが哀れでした。なまじ美しい体に憧れたりしなければ、平凡に健康に生きられた。ピーター・カッシングは俳優としての人生を、ほぼマッディストを演じることに捧げました。彼が出演するシーンはどんなB級だろうと低予算だろうと、小道具ひとつにも自分なりの工夫を施し、製作側が準備すべきものをリストにしてきちんと要求した。役に対する、仕事に対する情熱と気概が作品に香気を失わせませんでした。「マイスター・オブ・ホラー」にふさわしい異形の俳優です。