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特集「ベストコレクション」

2019年7月8日

特集「真夏の星の交響曲 7月のベストコレクション」①
かごの中の瞳(2018年 サスペンス映画)

監督 マーク・フォースター

出演 ブレイク・ライブリー/ジェイソン・クラーク

シネマ365日 No.2899

元の妻に戻って 

特集「真夏の星の交響曲 7月のベストコレクション」

どっちもどっちだという気がするわね。幼児の頃車の事故で失明したヒロイン、ジーナ(ブレイク・ライヴリー)は、目は見えないがやさしい夫、ジェームズの愛に包まれ幸福な結婚生活を送っている。手術で右目だけだが視力0.4まで取り返せると聞いたジーナは移植を受ける。ぼんやりと夫の顔が見えた。帰宅路の外の風景に心ときめく。慣れ親しんだ部屋に入った。「想像していたのと違うわ」。ついでに夫の風体も想像とは違ったらしい。ま、いいでしょ。目が見える・見えないに関わらず、錯覚と思い込みは人にはついてまわるものだ。でもジーナの世界観はガラリと変わり、従順で控えめで、すべて夫に頼っていた妻とは違った。セックスも積極的、姉夫婦と飲みに行くばかりか、繁華街の「のぞき部屋」まで率先して入る。路上でチンピラに絡まれたら夫が義兄のようにたくましく、追い払ってくれなかったと文句を言う▼夫は元のおとなしかった妻に戻ってほしい。彼は夫婦のセックスをビデオに収めているような執着ぶりだ。何度も見返すと、妻の表情はうつろで、決して満足していなかったことがわかった。そうか、彼女はもっと激情のセックスがしたかったのだ…とはいえ満足させられる自信はない。妻が初めて上になったとたん、実は萎えてしまったのだ。夫婦は子供を欲しがっていた。ある夜など「今度こそは」と夫は奮起して挑むが空振りだったとわかった時は、妻は「ごめんなさい」と謝ったくらいだ。あの慎ましい妻はどこへ行った。この映画、ひとひねりすると絶妙のコメディになったと思われるのに、別に文句をつけているわけじゃないけど、シリアスなまま着地してしまった。かわいい小鳥のように鳥かごに入っていた妻は、今やラドンではないか。バサバサという巨大な翼の音まで聞こえそうだ。ああ、疎ましい▼夫は一計を案じる。医師から調合された目薬を妻は規則正しく点眼する。それを違う薬に取り替えた。目の調子は悪くなり「目薬が合わないのでは」と医師に相談したら、適合する薬を出してくれた。妻は引っ越したいという。新しい人生にふさわしい新居が欲しいのだ。夫は住み慣れた「ここがいい」。妻は不満。プールで知り合ったダニエルと犬の散歩で出会い、彼の部屋に入って関係を持つ。スイミング仲間がまだ目の見えていなかったジーナに「わからなくて残念ね。彼、馬並みよ」と聞いた一言が、チラッとよぎったからでないとは言えない。結果妊娠した。夫は精子の数が少なく、子供を作るのは難しいかも、と医師から言われている。ジーナが嬉しそうに「妊娠した」と告げるのを聞いたとたん、情事に走ったことを知る。妻は妻で夫が目薬を入れ替え、元の失明状態に戻そうとしていたことがわかっている。自分のものだけにしておきたかった夫と、彼に落胆した妻のギャップは広がるが、妻は最後のところで踏みとどまり、歌に託して「愛している」とメッセージを送る。この時はもう妻の目が見えていること、つまり自分の細工がばれたことを夫は知り、動揺したまま車を運転し、トラックに当たって死ぬ▼セクシーに変貌した妻をまるで強いもののように夫は見ているのです。手に負えない女になった、どうしようってところね。だからって再び失明させて自分を頼りにさせようなんて発想が気の毒としか言いようがないわ。妻だって「部屋も夫も想像と違った」なんて、あなた、目が見えない時にすばらしい夢を心に描かせてくれた夫に感謝すべきでしょうが。どっちにも同情できないけど、夫の方が割り食った感じね。妻にホントのことを告げて「浮気したのだろ。俺は子供ができないのだ。でもすんだことだ。一緒に育てればいいさ。君の子には間違いないのだから、俺はかまわないよ」と言っていればよかったのよ。男は自分が産むわけじゃなし、いわゆる女の「腹を痛める」実感、ないでしょう。妻は元気な赤ちゃんを出産する。でもね〜。どうやって生活していくのよ。育児しながら働くのはそれこそ馬並みの体力が要るのよ。妙にシリアスになったばかりに、実人生への入り方が「あやういな〜」と云うより、「おざなりだな〜」というガッカリ感が免れない。

 

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