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特集「ベストコレクション」

2019年7月12日

特集「真夏の星の交響曲 7月のベストコレクション」⑤
おとなの恋はまわり道(上)(2018年 コメディ映画)

監督 ヴィクター・レヴィン

出演 キアヌ・リーブス/ウィノナ・ライダー

シネマ365日 No.2903

このセリフ力、表現力 

特集「真夏の星の交響曲 7月のベストコレクション」

セリフを喋るのは主人公のフランク(キアヌ・リーブス)とリンジー(ウィノナ・ライダー)の二人だけ。練り上げた脚本で展開する、皮肉と毒舌バトルがサイコー。元婚約者の結婚式に招かれたリンジーが空港でフランクに出会う。先に飛行機に乗ろうと一歩前に出たフランクにリンジーがからむ。「騎士道は死んだ、そんな表現じゃ甘い。あなたは礼儀の存在しない世界の住人みたい。基本的に礼儀やルールを軽蔑している」とかます。8人乗りの飛行機の最後尾の席に並ぶことになった。「この旅の目的は」とフランクが訊く。リンジーはにべもなく「あなたが黙っていてくれたら私はハッピーよ」。フランクがスナックの袋を噛みちぎって開けてくれたことでリンジー軟化。「パソローブレスに行くの」「パソロブレスだ」「ローブレスよ」「ロブレスだ。精神科に入院するのか」「世界で一番傲慢な行事、リゾート婚に出席するの」▼新郎キースはフランクの異母兄、リンジーの元彼とわかる。「キースはクズだ。別れて幸せさ。でも君はカリカリして不幸そうだけどな。とにかく花嫁に同情する」「あなたは何をしているの? まわりを暗くする以外に」「高評価の大企業にいる」「全国規模で車会社の機嫌取りをするあの会社?」「世界規模さ。君の仕事は?」「無神経な言動を発する企業を訴えるの」「差別撤廃ポリスか。人々の言動を分析し人種差別、女性蔑視と騒ぎ立て、金のために相手を貶める。まるでファシストだ。それが君の夢か」「夢なんて覚えていない」リンジーが寂しそうに言う表情にフランクは気がつく。翌日式の後散歩でもすることになった。誰もいない道で山ライオンに会う。キースが奇妙な唸り声(毎朝の習慣となっている発声法)を出し猛獣を追い払う。二人は急に接近し丘の途上で抱き合う。「何年ぶりかと思うと死にたくなるよ」「よくわかるわ」「長いこと人生は最悪だと思っていた。だから今混乱している。コンドーム持ってないんだ」「安全日よ」「責任は負わないぞ」「これ以上悪いことは起きないわ」「よし、やろう。始めるぞ」。リンジーはパンティを豪快に放り上げフランクはズボンをずり下ろす。丘の斜面から脚をバタつかせるリンジーがロングショットで映る。「今どう?」とフランク。「不思議だわ。気持ち良くて懐かしい感じ。性病はない?」「ああ。出会い系アプリには手を出していない」▼ホテルに戻った夜。二人は打ち解ける。「君の顔立ちはまさに黄金比だよ。アフロディテラインがある。美しい女性が微笑むと頬にできるラインだよ。頬骨から斜め下に弧を描くアーチ状のラインで見る人の目を釘付けにする」「初めて聞いたわ」「僕がつくった」「でたらめってことね」「経験上美しい女性には90%の割合でこのラインがある。民族を超えたラインだ」「他には?」「君はスリムだがダイエットはしていない。セクシーだが品がある。完璧なバランス。程よい引き締まり。鍛えられた腕は健康的だがレスビアンふうではない。足首を見ればこの体型は変わらないとわかる。要するに君は美人で品があって、エレガントだ。服のセクシー度も控えめ。神秘的でいいと思う。パジャマはやりすぎだが心意気に拍手する」。このセリフ力、表現力に脱帽。キアヌの平坦なトーンが大げさでなく、とてもいい。