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特集「ナンセンスは素敵だ」

2019年8月9日

特集「ナンセンスは素敵だ4」②
ヴェノム(2018年 SF映画)

監督 ルーベン・フライシャー

出演 トム・ハーディ/ミシェル・ウィリアムズ

シネマ365日 No.2931

俺たちはヴェノムだ 

特集「ナンセンスは素敵だⅣ」

 マーベルの古典的な展開として、科学が間違った方向に使われ、危険で無謀な実験を繰り返し、地球と人類を滅亡の淵に追い詰める、そこへヒーローが出現し未来に希望をもたらす、という構図があります。本作も典型的なそれ。ヒーローはシンビオート(地球外生命体)と一体となった元新聞記者エディ(トム・ハーディ)。恋人のアニー(ミシェル・ウィリアムズ)が顧問弁護士をしているライフ財団が、ホームレスを実験台に死者を出していることを嗅ぎつけ、取材を申し込むが追い払われ、新聞社はクビ、アニーも職を追われエディとは破局。ライフ財団の社長は24歳で会社を立ち上げた天才科学者ドレイクだ。エディが実験施設に侵入すると顔見知りのホームレス、マリアが被験者として捕まっていた。彼女を助けようとしたがその体に巣食っていたシンビオートに寄生されてしまう▼そのシンビオートの名前がヴェノムだ。エディに同居したヴェノムは食欲旺盛、スーパーでもレストランでもガツガツ食べあさり、エラソーにエディに指図する。彼らはドレイクが打ち上げた宇宙船に乗って地球に来た。ドレイクは将来地球が人口過剰と自然破壊で滅亡するから、人類は移住先を見つけねばならぬ、異星に適合する体に改造するためシンビオートと人間の融合体を実験しているというのが言い分だ。やみくもに繰り返す人体実験により死者無数。疑問を持った施設内の女性科学者も殺害されてしまう。ヴェノムに寄生されたエディには超人的な能力が備わる。ヴェノムはエディの体の居心地がよく「俺は自分の星では負け犬だった。地球のお前もそうだ。でも俺たち、となればそうではない。俺はこの星に残る。ドレイクが打ち上げるロケットを止めないと、シンビオートがワンサカやってきて人間を食い尽くすぞ。俺たちが阻止するのだ」。なんと「史上最も残虐な悪」のはずだったヴェノムがいつの間にか「超いい人」になっている。映画はころりコメディに▼地球にやってきたシンビオートのリーダーで能力最強のライオットがドレイクに乗り移っていた。だからクライマックスはヴェノム(エディ)対ライオット(ドレイク)です。黒い蛭みたいなシンビオートがあっちからヌルヌル、こっちからヌルヌル出てきたかと思うと、デカ頭の大きな口に、びっしり並んだ短剣歯、ゾロ引くような長い舌で体は黒い甲冑。グロテスクな姿なのですが、エディと力を合わせて人類を救うという設定上、全然怖くない。アニーまでシーヴェノムという寄生体になり、これがミシェル・ウィリアムズよりスマートで色っぽいのだから笑っちゃう。最後までノリがよく、というのもトムハがあの通り、どこかコロンとした丸い感じでしょ。シリアスな役ばかりだったけど、コメディ・タッチにいい味を出しています。そういえば「ブロンソン」も主人公は刑務所フェチという変わったキャラを、難なく演じていた。ヴェノムとの同居に当たってエディが出した条件は「手当たり次第人を喰うのはダメ。食っていいのは悪人だけ」「どうやって見分ける」「なんとなく。フィーリングさ」。コンビニ強盗がレジの金をカツアゲしている現場にくる。「悪人だろ」とたちまちヴェノムの餌食。そこで二人(?)が声を合わせ「俺たちはヴェノムだ」。エンディングは続編の導入部です。ウディ・ハレルソンがダークなスーパーヒーローを演じます。これほど変態の似合う人も少ない。