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特集「ナンセンスは素敵だ」

2019年8月10日

特集「ナンセンスは素敵だ4」③
マンディ 地獄のロード・ウォリアー(2018年 アクション映画)

監督 パノス・コスマトス

出演 ニコラス・ケイジ/アンドレア・ライズボロー/ライナス・ローチ

シネマ365日 No.2932

さすがニコラスというべきか 

特集「ナンセンスは素敵だⅣ」

 ニコラス・ケイジのおバカ映画はたくさんあるし、みなつまらなくはなかったのに、本作だけは(これってどうなのよ)が押し寄せてきたわ。愛する女性マンディ(アンドレア・ライズボロー)と山奥で木こりをやって暮らしているレッド(ニコラス・ケイジ)が、カルト集団にマンディを焼き殺され復讐する。カルトのリーダー、ジェレマイア(ライナス・ローチ)は、自分は神であり、何をしても許される、ゆえに山道ですれ違ったマンディを見初め、レッドもろとも拉致してくる。レッドは木にくくりつけられ目の前でマンディの火あぶりを見る。復讐の鬼となったレッドは山奥の隠者のじい様に預けておいたクロスボウを手にし、多目的マサカリみたいな武器を作って出陣。カルト組は狂ったバイク集団を雇い、レッドを襲わせる▼ストーリーがしゃんしゃん前向いて進まないのは、頓挫する場面が多すぎるからだ。一人家に戻って白いブリーフ一枚、その下は生足で毛ズネ丸出し、上は虎のイラストのTシャツを着て「ウォー、ウォー」と叫び室内をぐるぐる、便器にしゃがみ込んで頭を抱える。主人公の怒りや悲しみより、コケにされている図柄にかわいそうになる。ピカピカのマサカリ担いで出陣したのに、あっけなくバイクのリーダー、黒覆面に捕まる。こいつが全身に針を飛び出させた汚らしい姿形で、「エイリアン」のギーガーのような造形の傑作には無縁。彼らを殺してレッドは脱出し、悪者らにヤクを調達していた売人にカルトの巣窟を聞く。売人は見事なトラを檻に飼っている。レッドを見て「君から宇宙の闇が溢れている。子供たち(カルト連中のこと)は北にいる」そして思わせぶりに檻の扉を開けるから、てっきりレッドを襲わせるのかと思うとトラは何もしない。迫力ないやつね。長い牙を見せびらかすだけで、しかもCGだ。喉くらいゴロゴロ鳴らしたらどう。巨大ノコギリとチェーンソーの対決は死闘というより、何でこうまでクラシックな武器に頼るのか。本作の時代は1980年代だが、石器時代の闘争かと見まごう▼北へ到着した。三角屋根の教会だ。教会の地下トンネルの整備洗練されていること。ヒッピー集団に近代的でスマートな建築が設計できるはずもなく、突如山奥に出現したデザイナーズハウスに戸惑う。レッドはズンズン教祖さまを追い詰めた。「それ以上近寄るな。神がこの部屋にいる。お前には私を傷つけられない。神が私に与えてくれるものを見よ。お前には魂も脳みそも霊魂もない」。なくてけっこう。レッドは教祖の頭をムンズ。万力のような力で締め付け頭を握りつぶす。両目がドローンと飛び出て血が噴き出した。スクリーンが赤になったり紫になったり、コロコロ色調が変わるのも意味ない。次はどんな無駄な場面になるのだろう、この映画はそれだけで引っ張る。ニコラスは終始、血糊ベタベタの真っ赤な顔面に目だけが白く光る。このメークに誇らしく耐えたのは、さすがニコラスというべき? ライナス・ローチはテレビ出演が多いが映画では「バッドマンビギンズ」「フライト・ゲーム」などがある。本作ではマンディにセックスの奉仕をさせようと前を広げるが、嘲笑されて怒り狂い、火刑を命じる恥も外聞もない男を演じる。マンディのアンドレア・ライズブローはピーター・オトゥールの遺作「ヴィーナス」で、女優のちょい役でデビュー、「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ出来事)」で、相棒のナオミ・ワッツと売れない舞台女優を演じ、ナオミを慰めるためテキトーにキスしたら、ナオミがハツラツと元気になるシーンがおかしかった。以後「ノクターナル・アニマルズ」「スターリンの葬送狂想曲」などがある。本作では「銀河系に関する本を読んだ。素晴らしかった」レッド「どの惑星が好きだい」「木星ね。木星の表面の大気には台風が千年も吹き荒れ、その目は地球を飲み込めるほど大きいから好き」…大きな目なら、あなたも負けていませんよ。