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特集「ナンセンスは素敵だ」

2019年8月11日

特集「ナンセンスは素敵だ4」④
トゥ・ヘル(2019年 スリラー映画)

監督 マリア・ブレラ

出演 ニコラス・ケイジ/フランカ・ポテンテ/ペネロペ・ミッチェル/リディア・ハースト

シネマ365日 No.2933

マイノリティの味方

特集「ナンセンスは素敵だⅣ」

 ジョー(ニコラス・ケイジ)は妻と娘を亡くしてから生きる張り合いを失ったヤサグレのトラックの運転手。ある夜立ち寄ったダイナーで首を絞められている女性ジュリー(フランカ・ポテンテ)を助け、男をボコボコにする。でも訳を聞くとジュリーは交通事故で意識不明の娘ビリー(ペネロペ・ミッチェル)と交信するため「あっちの世界」に行き、娘は意識を取り戻すことがわかった▼借金のカタにトラックを取られてしまったジョーはジュリーの家に厄介になることにする。退院してきた娘は妙にジョーに馴れ馴れしい。死んだジョーの娘の名前がサラだと言い当て自分はビリーではなく、ジョーの妻メアリーだという。死んだ妻が何ゆえこの世に戻ったか。あなたが家にいなかったから寂しかったのだと、恨み辛みを聞かされる。ジョーにすればピチピチのビリーの中身が妻で、熱く近づいてくるのだから悪い気はしない。そうそ、その前にジョーは母親のジュリーとも仲良くなっていた。つまりニコラス扮するひげ面のメタボで仕事のない中年男は、女三人、厳密に言えば二人と一人のスピリットに愛される男となる。あの世から来たメアリーはジョーを愛するジュリーが目障りで仕方ない。「彼女のおかげでここにいるし、君はこの世に戻れたのだ。手出しをするな」とジョーは諌めるのだが、メアリーという女性は生前、夫不在の寂しさからウツが高じていました。あなたを連れ帰るまで私はここにとどまる、なんて、つまり妻を満足させるためには、ジョーは死ななくちゃいけないのね▼ジョーがビリー(兼メアリー)とセックスしているところへ母ジュリーが帰ってくる。彼女はトラックの中にある妻と娘の写真まで取られた、と嘆くジョーのために500ドル払って取り返してあげたのにこのザマ。怒るジュリーに「違う、違う、あれは妻なのだ」だからやってもいいだろ…って、どうしようもないね。病院の看護師は生と死を行き来するジュリーの能力を知っていて「霊はいるべき場所に戻る」というのだが、いつ戻ってくれるのだ。今すぐにでも追い出したい居候だ。ビリーの姿をしたメアリーは火事があった自分たちの家にジョーを連れていく。そこで恨みの告白。「私のタバコの火から引火したというのはウソ。サラは火事の前に死んでいた。子供のくせに抵抗するから手古摺った」「娘を手にかけたのか」「あなたのせいよ。寂しかったのよ」それで生き返ってジョーを連れて行こうとしているわけね。サラの声が聞こえジョーは朦朧として灯油をかぶりライターで火をつけ炎に包まれながら思い出していた。「皿洗いはジョーにやらせろ。あのガキは何の役にも立たん」と父親。「ジョー、父さんは酔っているのよ。やめて」止める母の声を背に、ジョーは銃を取り父親に発砲した。ジョーはジョーで父親殺しというトラウマを抱えていた…。結局メアリーはジョーを連れてあの世にいき、ジュリーは巻き添えを食って焼死、メアリーの霊が去ったビリーとボーイフレンドが生き残ったというお話▼ニコラス・ケイジがTシャツにブリーフで室内をウロウロするのは「マンディ  地獄のロード・ウォリアー」と同じ。このスタイルが気に入っているみたいです。Tシャツの裾からブリーフの先端だけがチョコンと覗くのよ。ブリーフが柄ものだったから、ニコラスは男性自身にタトゥーしたのかと一瞬思った。マリア・ブレラ監督は脚本執筆中からニコラス・ケイジを想定していたそうです。相手が新進女性監督だろうと内容が薄気味悪かろうと、男ニコラス、オファーを受けて立ちました。彼のこういうところ、好きですよ。体質的にニコラス・ケイジはマイノリティであり、マイノリティの味方です。

 

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