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特集「ナンセンスは素敵だ」

2019年8月12日

特集「ナンセンスは素敵だ4」⑤
レベル16(2018年 劇場未公開)

監督 ダニシュカ・エスターハジー

出演 ケイティ・ダグラス

シネマ365日 No.2934

本当のDNA 

特集「ナンセンスは素敵だ4」

 寄宿学校とか修道院、森の奥の屋敷とか、閉鎖された場所の少女、もしくは少女たち、というのは想像力をかきたてるのでしょうか。「ブラック・ムーン」「サスペリア」「エコール」「ミネハハ  秘密の森の少女たち」「ビガイルド」など多くの佳品があります。本作では1415歳の少女たちが日光を遮断した、窓もない、研究室か実験室のような無機質な空間で規律正しい(トいうより24時間監視体制で)集団生活を送る。起床から就寝までプログラムが組まれ、レベル16に達するとめでたく卒業。後援者の養子に引き取られる。モットーは「従順、清潔、忍耐、謙虚」質問と不満は厳禁。10人がレベル16クラスに入り、今まで学んだことの総仕上げということになった。なぜ彼女らが羊のようにプログラムに従うのかというと、みな孤児で、ここにいる限り食事も眠る場所も確保されるからだ▼ヴィヴィアン(ケイティ・ダグラス)の友だち、ソフィアがこっそり「ビタミンを飲まないで。飲んだふりして捨てるのよ」と耳打ちした。ある夜少女たちの教育係り(舎監のような存在)が、夜中に部屋に来て「この子と、この子」と二人を選び男たちが担いで別室に運んだ。そこには後援者夫婦がいた。かなり年配だ。舎監が「ご要望頂いた二人です。こちらはヴィヴィアン。100万人に一人の逸材です」妻のほうがつらつらヴィヴィアンを眺め「日光による損傷が全くない」と満足する。研究所専属の医師が感染予防のためワクチンをうつが、うたれた少女ヴェロニカは痙攣を起こす。罰則で呼ばれたリタを、ヴィヴィアンとソフィアが探しに別室に入るとそこには顔の皮を剥がれて死んだリタがいた。「ここにいたら殺される。逃げよう」とソフィア。「私たちが逃げたらみんな殺される。助けて一緒に逃げよう」とヴィヴィアン。ある部屋の研究室のホームページを開くと、医師が説明している。「当クリニックは独自の美容術を開発しました。適切なモデルを選択できるため顧客の特徴を際立たせる施術が可能です。大事な女性が若返りを考えていたら当院の美容技術をお勧めください。顔の若返りにより永遠に続く若さを手に入れられます。最先端技術人工ゲノムを用いて、提供された皮膚と顧客のDNAを適合させます。施術後の違和感もなく…」▼「ここは飼育場よ。私たちは羊と同じ。後援者が欲しいのは私たちの皮膚なの。皮膚を剥がれリタは死んだ」ヴィヴィアンとソフィアは他の少女たちを連れ脱出する。妨害されヴィヴィアンは捕まる。主犯は医師だ。「何人の少女がここで死んだの!」「私は君たちを貧困から救った。両親は喜んで君たちを売った。君らに未来はなかった。ここで食事と安全な環境を与え、考える力を奪った。16年という月日を注いだ顔と皮膚だ。手放せないよ」。ヴィヴィアンはナイフで自分の顔をザクザクにする。「ギャーッ」悲鳴をあげたのは医師のほう。ヴィヴィアンとソフィアは手をとって逃げ回るが追い詰められ…気がつくと警察病院。少女たちは安全を確保され手当を受けていた▼結局若返りを懇望する顧客狙いの皮膚移植だったの? そのために日光に当てず、教育も施さず(彼女らは字が読めない)、ひたすらセレブ客に高値で売れるよう「飼育」したという、無残なオチ。これまるで「若返りに血道をあげる女性たち」とバカにしていない? 美容整形のために少女たちのみずみずしい肌を16年間もかけて作り上げていたのですって? 設定がナンセンス。でもま、ディストピア・ホラーとしてはまずまずの作り話でした。頭のいい勇敢な少女たちがいてよかったわ。自然に反した従順や謙虚なんて、おかしいと思う子はおかしいと思うのよ。それが本当のDNAよ。