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特集「意外な代表作」

2019年8月16日

特集「意外な代表作3」① モニカ・ベルッチ
モニカ・ベルッチの情事(1992年 劇場未公開)

監督 フランチェスコ・ラウダディオ

出演 モニカ・ベルッチ

シネマ365日 No.2938

未来の宝石 

意外な代表作

 みんな「情事」が好きね。本欄にアップしただけでも「昼下がりの情事」(主演オードリー・ヘプバーン)「危険な情事」(グレン・クローズ)「汚れなき情事」(エヴァ・グリーン)「情事ーセカンド・ラブ」(ヴェラ・ファーミガ)「禁じられた情事の森」(エリザベス・テイラー)、モニカ・ヴィッティの「情事」。錚々たる女優が「情事」で妍を競っています。本作はモニカ・ベルッチのデビュー作です。28歳でした。へ〜、これがモニカ・ベルッチだったの、とびっくりします。頬がふっくらして印象が鈍角。時たまカメラの角度によって後年のシャープな映像に近づきますが、とても女優さんと思えないほどウブです。それまでモデルをやっていて、デビューしてからしばらくは、演技をバカにされたそうです。本作を見る限り、後年彼女が「イタリアの宝石」と呼ばれる存在になるとは、誰が想像できただろうか▼お話もチープで、夫を交通事故で亡くしたフランチェスカに、夫が事業拡大のために借り入れた巨額の借金と、娘一人が残った。フランチェスカが知らなかっただけで、豪華なマンションの家賃さえ13カ月分滞納していた。別荘は銀行の担保になっている。収集した絵画や宝石、毛皮、車、ヨットを売り払い、急場をしのいだが、売り食いがいつまでも保つはずはない。家政婦に「やめてもらうわ。お給料払えないの」。この家政婦が腹の座った黒人女性で、多分フランチェスカとウマが合うのだろう「かまいません。わたし、ここにいます。居心地がいいから。お金には困っていません。多少ならお貸しします。奥様はお美しい。男が放っておきません」だから遠からず再婚か、そうでなくともなんとかなると楽観している。フランチェスカは弁護士に提案した。「私を欲しがる男はたくさんいる。クジを引いて当選した男は1億リラの掛け金で4年間私を所有する。乗ってくる男を20人集めて。当たる確率は20分の1よ。私は最高の愛人として尽くすわ。特定の信用できる人物にだけ内密で話を広めて。掛け金の規定書は完璧なものを作成して。あなたには手数料を差し上げるわ」▼フタを開けると男ばかりか男の妻もカップルで応募し「3人で関係を持つのが倒錯と? 20分の1の確率であなたは私にキスすることになるわ」。ある朝フランチェスカは家の前でアントニオという男を車ではねた。若いイケメンだったので憎からず思い、家に入れて手当てした。目の肥えた家政婦はいかがわしそうに見たがフランチェスカは舞い上がってしまった。あっという間に「愛している」ことになった。アントニオとのベッドシーンがある。モニカ・ベルッチはあっさり脱ぐが、(ベルッチファンには言いにくいのだが)妖艶でも婉麗でも、ましてセクシーでもなくマグロなのである。アントニオは掛け金目当てのジゴロとわかりあっさり切れる。とはいえ応募者は男女20人になり、20億リラの小切手がフランチェスカの手元に届いた▼そこへ警察が踏み込む。密告があったのだ。フランチェスカと弁護士はあわや逮捕! 罪状は「買収幇助、賭博、無許可のクジ販売」。フランチェスカは落ち着き払い「賭博でもクジ販売でもありません。彼らはみな亡夫の親友です。彼らは私を助けようとしたのです。生活を支え娘に高等教育受けさせるために」亡き夫の友人たちが計画した慈善事業だということで罪にはならない。掛け金提供者は下手にほじくって事実が明るみに出ると、オフィシャルな立場がまずくなる連中ばかりだ。結局沙汰止みとなり、フランチェスカと娘と忠実なメイドの3人は金をたっぷり持って旅立つ。後ろ姿を見送りながら検事がつぶやく「密告者は誰だったのだろうな」…わかりきっているでしょ(笑)。ベルッチは本作の8年後、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の「マレーナ」で演技派として見事に脱皮し、名実ともに「イタリアの宝石」となります。それを知ってみると、本作はチープかもしれませんが、骨太の女優としての、未来の片鱗を伺がわせています。

 

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