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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2019年9月24日

特集「映画に見るゲイ12」303
ボヘミアン・ラプソディ(2018年 ゲイ映画)

監督 ブライアン・シンガー

出演 ラミ・レミック/ルーシー・ボイントン

シネマ365日 No.2977

人生のすべて

特集「映画に見るゲイ12」

 「僕はバイだ」とフレディ(ラミ・レミック)が妻メアリー(ルーシー・ボイントン)に打ち明ける。「あなたはゲイよ。気づいてた。でも認めたくなくて」。フレディの相手はマネージャーのポールだった。この関係がフレディの後の人生を蹉跌に導きます。クイーンのメンバーはポールが嫌いだった。フレディを理解もしていないし気づかってもいないことが傍目にもわかったが、フレディはポールをかばう。フレディにソロ独立の契約を持ってきたのも彼だ。「もうツアーは飽きた。アルバムの後はツアー。他にないのか。少し休みたい。CBSとサインした」メンバー呆然。「契約金は400万ドル。ソロアルバムを続けて2枚」。「ツアーが終わればアルバム、またツアー。作曲者は? 誰の曲を入れる? 印税の配分は?B面は誰の曲を? もう疲れた」「僕らは家族だろ」「違う。君らには家族がいる。子供や妻が。でも俺は…」「400万ドルで家族を買え。クイーンを殺しな。君は君が思っている以上に僕らが必要だ」「俺は誰も必要ない!」決裂▼ソロのアルバム作りに没頭している時、アフリカの飢餓救済のための今世紀最大のチャリティ・コンサートの企画が持ち上がっていた。ライブ・エイトだ。米国と英国で同時放送。ウェンブリーとJFKスタジアムを使い世界150カ国に中継する。使用する衛星は13基。オリンピックは3基だ。ジャガー、ボウイ、エルトン、ザ・フー、B・ディランが出演。チケットは既に完売だった。こんな大事な話をポールはフレディに伝えていなかった。いくら電話してもつないでもらえないポールの対応に業を煮やして、メアリーが訪ねてきた。「いやな夢を見たの。あなたに話しかけても答えない。声が出ないの。ここにいてはダメ。ポールはあなたのことを気にかけていない。私やバンドのみんなはあなたを愛している」。フレディはポールを解雇する。長年クイーンとともに仕事をしてきた弁護士「マイアミ」に電話し、「母船に帰りたい」そう告げた▼「何の話だ」召集されたメンバーにフレディは「俺は最低だった。君らの怒りは当然なんだ。俺は自惚れて、身勝手でクズ野郎だ。喜んで服を脱ぎ君らにムチ打たれる。どうすれば許してくれる?」「許してくれというなら許す。話はそれだけ? 帰っても?」「待ってくれ。ミュンヘンでミュージシャンを雇った。ダメだった。いいなりだ。反対意見も出なければリライトもできない。不満顔もなし。俺たち、年の割に悪くない4人だ。だから条件を言ってくれ」。メンバーたちはフレディを憎んではいなかったのだろう、フレディに席を外させ、チョイチョイと打ち合わせをして呼び返した。「今後全ての曲は作詞作曲が誰であれクイーン名義とする。クレジットも均等に分ける」「わかった」「問題は取り巻きだ」「ポールはクビにした」みんなホッとする。弁護士が言った。「ライブ・エイトの返事を待たせてある。決めてくれ」メンバーたちは「何年も演奏していないから自信がない。何百万人の前でなんて無理だ。僕らは過去の遺物だ」フレディ「出演を断れば俺たちは死ぬまで後悔する。お願いだ」。フレディは懇請した。残り時間は少なかった▼「俺からみんなに伝えたかった」とフレディは切り出した。「エイズだ。同情で俺を退屈させるのは時間の無駄だ。残された時間で音楽を作る。それが俺の望みだ。俺が何者かは俺が決める。声については少し時間をくれ。ウェンブリーの空に穴を開けるぞ」鬼気せまるセッションが始まった。1985年ライブ・エイト当日。ロンドン正午。フラデルフィア午前7時。チャリティ目標額100万ドル。フレディはジム・ハットンを両親の家に連れていった。「仕事仲間かな?」と父親が訊く。フレディは黙ってジムの手を握る。「友達だよ」。ジムの人となりを見て取った母親が「友達っていいわね」。「今からウェンブリーに行くよ。アフリカの子供たちを救うコンサートだ」。玄関まで見送りに出た父親は言った。「よき思い、よき言葉、よき行いだ」以前のフレディは「そんなことでいいことがあったか」後ろ足で泥をかけて出ていった。今はこういう「父さんの教えと同じだ。母さん、ステージからキスを贈るよ」▼「続いてはクイーン!」アナウンスが流れた。巨大なスタジアムは天空まで熱気が届く超満員。フレディの声が響いた「ママ、人を殺してしまった/ママ、人生は始まったばかりなのに/全て台無しにしてしまったんだ」持ち時間は20分。クイーンのパフォーマンスが炸裂する。

Bohemian Rhapsody

Radio Ga Ga

Ay-Oh

Hammer to Fall

We are the Champions

Don’t Stop Me Now

メガヒットのつるべ打ちだった。スタジアムが巨大な怪物のようにどよもす。ステージが燃えている。胸が苦しくなる。そしてエンディングに流れる曲。

The Show Must Go On

(ショーは降りるわけにいかない)。そうだとも。死んでも降りない。生きてきてこれからも生きる、それが人生のすべてだから。

 

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