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特集「早すぎた才能」

2019年9月30日

特集「早すぎた才能/アイダ・ルピノ」⑥
夜霧の港(1947年 恋愛映画)

監督 アーチー・L・メイヨ

出演 ジャン・ギャバン/アイダ・ルピノ

シネマ365日 No.2983

ケチをつけても始まらん 

特集「早すぎた才能/アイダ・ルピノ」

 かつての日活映画を思い出すような邦題。ジャン・ギャバンがハリウッドで撮った唯一の映画。ジャン・ギャバンという人、モテたでしょうね。「ヘッドライト」の時も思ったのだけど、あのごつい顔で、相手の女性が好きでたまらない、という表情がものすごくうまいのね。こんなふうに見つめられたらどんな女だってなびくわよ。いきなり話は変わるけど、どんな男でも思いのままのナンバー1ホステスが、パートナーに選んだのはセレブでもハンサムでもない中年男だった。なんであんなやつと、俺の方がよほど上等だろ…外れた連中がブーイング。彼女の答えは「彼は私から一度も目をそらさない」。なんとなくわかるのよね。会議でも面接でも発言者から目をそらさず聞く。簡単なようで難しい。愛想のいい役員に向かって滔々と意見を開陳していた面接者が不採用。理由「なんで俺(社長)がいるのに大事なことを質問しないのかね。自分のことばかり、うるさい男だ」▼本作の場所はカリフォルニア、サン・パブロの港町。安食堂で働くアンナ(アイダ・ルピノ)は夜の海に入水したところをボボ(ジャン・ギャバン)に助けられた。二人は惹かれあう。ボボといつも一緒にいるタイニーという男はなぜか結婚に反対で「ボボを縛らないでくれ」とアンナに頼むとも脅すともつかぬ言い方をする。ボボは泥酔すると記憶をなくす。「2年前俺とタイニーは船で働いていた。船が停泊していたとき、酔って喧嘩した。相手はナイフを持っていた。首に手をかけた覚えはある。タイニーが逃がしてくれた。それ以来離れられない。俺が働いて口止め料を渡す。無茶な金は求めてこない。港、港を渡り歩いてきた。今度は北へ行くらしい。でも俺は君と一緒にいたい」。たまたまボボが泥酔した翌日、港で殺人事件があり、ポップという老人が殺された。絞殺だった。不安になったボボはタイニーに詳しく教えてくれと頼むが、タイニーは言を左右しボボが殺したと遠回しにほのめかし、早くこの港から出て行こうという▼ボボの留守中タイニーが船小屋に来て(ボボとアンナは目下、釣りの餌を売る船着場の小屋に落ち着いている)、「俺はボボの秘密を知っている。奴がポップ(被害者)を殺したのだ」。アンナは「その時犬はどこにいたの。ボボと一緒に犬は戦ったはず。でもポップは噛まれた後も服も破けていなかった。あなたが犯人ね」。犬とはボボが連れ歩いている大きな忠実な黒犬で、ボボの身辺に危害が及びそうだと吠えたり威嚇したりする賢い犬だ。それにしてもアンナがピンとくることを、どうしてボボはわからなかったのか、話があらっぽすぎるが、真相がばれたタイニーはアンナを襲い重傷を負わせて逃げる。憤怒のボボが岩場に追い詰め、タイニーは足を滑らせ海中に真っ逆さま。事件は解決。ボボは友人たちの祝福を受け、簡素だが心の籠った結婚式を挙げる▼アーチー・L・メイヨ監督にはベティ・デイビス主演の「化石の森」「国境の町」などビッチを得意とする作品があります。デイビスが演じるはずだった役がたまたまルピノに回ってきた時「私は安物のベティ・デイビスというところね」と自虐ネタにしていましたが、本作では巖のようなジャン・ギャバンの陰に咲く可憐な花の風情です。タイニーが船小屋に忍んで来たところは、ハリウッドならすわ強姦か、というシーンですが。ルピノでは想定外だったみたいで、男の隙をつくしっかり者にしています。ほころびはいっぱいありますが、ジャン・ギャバンとアイダ・ルピノで「不問に付す」、ケチをつけても始まらん映画にしています。

 

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